「お金で時間を買う」発想が社員を幸せにする理由 「タイム・リッチ、環境リッチ」が生産性を上げる

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これがもし、地方に住んでいるがゆえに仕事は中途半端、という状態だったら看過はできませんよね。勤務時間内にきっちり成果を出す、つまり生産性をアップさせるというのが大前提です。だから「タイム・リッチ」&「環境リッチ」になるには、セルフコントロールが不可欠。プロのアスリートだって、試合で成果を出すために日々のトレーニングや栄養管理を欠かさないでしょう。それと同じことです。

「タイム・リッチ」になる必要性はこれから増していく

自分の会社について言えば、現状の働き方の枠組みの中で、リモートワークの生産性を高めるためにすべきことはほとんど取り組んだのではないかと考えています。

今は従業員の労働時間が法律で定められていますが、僕は本来、これも自由でいいんじゃないかなと思うことがあります。僕らの会社には、もっと長い時間働いて成長したいという野心をもった従業員もいます。もちろん今は止めていますけど。

僕はいずれ、「非同期ワーキング」を実現させたいと考えています。インドがアウトソーシングで経済発展したのは、アメリカとの時差があったから。アメリカの企業が終業時に仕事を依頼したら、翌朝出勤するまでにその仕事ができあがっている。アメリカの夜は、インドの昼間。いわば24時間稼働状態になるわけです。

日本の場合は、時間に制約されますよね。夜になったら頭が冴えてくるという夜型人間もいるはずなのに。皆が一堂に会するミーティングなどは別ですが、クリエーターのような仕事なら、自分のペースでやったほうがいい。時間に捉われない働き方も、タイム・リッチと言えると思います。

今はワークライフバランスで働く時間を減らす方向にシフトしています。ただし働く時間を減らすという考えは、100年前からあり、新しい考えではありません。日本人はこの100年で、年間労働時間を3400時間から2000時間にまで減らしています。

これからもこのトレンドは続いていくでしょう。1日の労働時間はたかが知れています。すると、限られた時間でどれだけの仕事の成果を出すか、ますます高い生産性が求められるようになるでしょう。同時に、残りの時間でどのように人生を豊かにしていくかが問われます。年齢や立場に関係なく、タイム・リッチになる必要性は、これからも増していくと僕は思っています。

(構成:笹 幸恵)

池見 幸浩 株式会社grooves(グルーヴス)代表取締役

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いけみ ゆきひろ / Yukihiro Ikemi

1977年大阪府生まれ。関西外国語大学卒業後、大手通信会社勤務。社長室、会長室、内部監査室長を歴任。資産管理会社勤務を経て、2004年株式会社groovesを設立。2018年3月、マレーシア・クアラルンプールにGrooves Sdn.Bhd.を設立し、海外事業を推進している。

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