「お金で時間を買う」発想が社員を幸せにする理由 「タイム・リッチ、環境リッチ」が生産性を上げる

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もちろん社長だから好き勝手にやっているわけではありません。いつの間にか北海道に移住した従業員が4名。従業員の2/3にあたる80名にアンケートを取ったら、週に1回以上出社している人は半分にすぎませんでした。それでも仕事は回っていて、事業も拡大しています。さらに当社には、オーストリアで働いている人もいれば、宮古島で働いている人もいます。

もちろん都会が好きな人、田舎が好きな人、さまざまなので、地方がすべてだとは思いません。ただ、今いる環境に本当に満足しているかどうか、検討してみる価値はあると思います。

環境を整えることは、生産性の向上につながる

「環境リッチ」とは、何も住む場所のことだけではありません。家庭環境も同じように大事です。

僕らの会社では、家族の事情を許容する文化があって、それぞれのスケジュール表には「子供を迎えに行く」「子供と風呂に入る」といった時間がプロットされています。

先日も、久しぶりに出社して会議を終えた後、経営幹部に「食事に行こうか?」と誘ったら、「子供を迎えに行くから」と断られました(笑)。それでいいんです。

子供と一緒にいられる時間が増えれば、家族みんながハッピーですよね。奥さんが体調不良で寝込んでいるときにちゃんと時間を取って看護できれば、感謝もされるし、夫婦仲も円満になるでしょう。

ただ間違えてほしくないのは、これは従業員の福利厚生というより、生産性向上のためにやっているという点です。環境が整えば精神的にも安定するし、やる気も出てきます。従業員に楽しく働いてもらいたいというと、キレイごとのように聞こえるかもしれませんが、実際に効率よく働くためには必要だと考えてのことなのです。

宮古島で働いているエンジニアは、始業前に趣味のSUP(スタンドアップパドル)をやって、「海に出たら亀がいた」とか日報に書いてきます。そのあと仕事をして、8時間きっかりで終えます。でも、彼は非常に優秀。ストレスゼロだから、良いコードが書けますよ。また、うちの海外法人では世界的に有名なエンジニアを招き、日本のエンジニア向けのオンラインイベントを英語で行っているのですが、彼は宮古島から参加し、モデレーターを務めています。経営側がやってほしいことを全部やってくれるわけですから、もう100点満点です。

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