7月16日、中国の上海環境エネルギー取引所(上海環交所)で全国統一の二酸化炭素(CO2)排出権の取引が始まった。これにより、世界最大規模の排出権市場が誕生した。最初の取引は9時30分にCO2の排出枠1トン当たり52.78元(約897円)で成立。初日の総取引量は16万トン、総取引額は790万元(約1億3430万円)だった。
取引初日の成約価格は、これまで全国7カ所(北京、天津、上海、重慶、深圳、湖北、広東)でテスト運用されていた排出権取引の成約価格を全体的に上回った。中国生態環境省の趙英民次官によれば、テスト運用での成約の加重平均価格は1トン当たり約40元(約680円)だった。
なお、取引初日に成約した企業は5大国有発電企業である中国華電集団、国家能源投資集団、国家電力投資集団、中国華能集団、中国大唐集団のほか、2大国有石油会社の中国石油天然気(ペトロチャイナ)、中国石油化工集団(シノペック)、電力インフラ大手の申能集団、電力大手の華潤電力、浙江省政府系エネルギー企業の浙江省能源集団の合計10社だった。
市場の実態の反映はまだ先
「初日の成立価格がテスト運用時の成立価格を超えたことは、市場参加者の全国統一市場に対する信頼を意味している。ただし、この成立価格は必ずしも市場の実態を示しているわけではない」。調査会社の中創碳投科技のシニアアドバイザーを務める陳志斌氏は、そう指摘した。
陳氏の解説によれば、政府が割り当てた排出枠の余裕が少ない企業とまだ余裕がある企業の間で、大量の取引が成立するようになって初めて、需給に基づく真の市場価格が形成される。
排出権取引は、市場メカニズムを用いてCO2の排出に価格をつける(ことで企業に排出削減を促す)仕組みであり、気候変動問題に対応する有効な手段として期待されている。
ただ、2011年からスタートした前出の7カ所でのテスト運用は、地方によって取引のルールが異なっていた。そのため、各地を跨いだ排出枠の取引が実現せず、排出枠の価格にもばらつきが生じていた。
(財新記者:陳雪婉、杜偲偲)
※原文の配信は7月16日
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