夏に降る突然雨は「もともと雪だった」意外な事実 氷の塊「ひょう」が降る理屈も説明できる

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線状降水帯という言葉、ニュースなどで一度は聞いたことありませんか? 線状降水帯は、集中豪雨をもたらす原因となる現象のことで、これは積乱雲が連なることによって発生します。

ひとつの積乱雲がもたらす雨量は数十㎜程度といわれますが、次々と発生・発達する積乱雲が連なっているときには、その雨量も別格になります。狭い範囲の同じ場所で強い雨が数時間にわたって降り続き、雨量が100~数百㎜にもなる集中豪雨が発生します。このとき線状にのびた雨域や雨雲のまとまりのことを線状降水帯というのです。

日本で発生する集中豪雨の約7割は線状降水帯によるものと考えられており、九州に甚大な水害が発生した令和2(2020)年7月豪雨も線状降水帯が主要因でした。

ちなみに、積乱雲が動く方向の後ろ側で新たな積乱雲が次々と発生することから、このように線状降水帯ができるしくみは「積乱雲のバックビルディング」と呼ばれています。このほかに、前線上で次々と積乱雲が発生してできるタイプの線状降水帯も確認されています。

線状降水帯は大きな災害をもたらす危険な現象ですが、正確な予測が難しいのが現状です。そのため、線状降水帯をうまく予測するための研究が今も行われています。線状降水帯の発生予測には、風上側の水蒸気の正確な観測が重要です。気象庁では、九州に災害をもたらす線状降水帯を高精度に予測するために、東シナ海の船で水蒸気を観測するなどの、新しい試みを始めています。

線状降水帯の雲。積乱雲が連なっています(出所:『すごすぎる天気の図鑑』)

氷の塊である「ひょう」が夏に降る仕組み

真夏に突然空が暗くなり、氷の塊がたくさん降ってくることがあります。積乱雲の中では氷の粒が大きく成長することがあり、直径5㎜未満のものをあられ(霰)、直径5㎜以上のものをひょう(雹)と分類します。

ひょうは大気の状態が不安定で、積乱雲が発達しやすい春、夏、秋に多く発生します。大きな氷の塊なので、真夏でも融けずに降ってくるのです。

場合によっては、グレープフルーツほどの大きさになることもあり、落下する速さは30m毎秒(時速108km)以上!ひょうに当たると家屋を壊したり、大怪我につながったりするので、もし降ってきたらすぐに安全な建物に避難しましょう。

また、ひょうを輪切りにすると年輪のような模様が出てきます。これは、あられがひょうになる過程で起こる、上下運動によってできたもの。簡単にいうと、気流によって「融ける→凍る」を繰り返した結果なのです。

輪切りにしたひょう。観察は必ず安全を確保してからにしましょう(出所:『すごすぎる天気の図鑑』)

アンモナイトの渦のようにも見えるこの模様のはじまりは、積乱雲の中にいる雪の結晶が落下するところから。雲の中、雲の高い場所から降ってくる雪の結晶は、0℃よりも冷たい過冷却の水の粒がくっついて凍り、「雲粒付結晶(うんりゅうつきけっしょう)」と呼ばれるものになります。さらに粒がくっつくと雲粒付結晶はあられになります。

このあられがさらに落下し、空の0℃よりも温かい層まで落ちると表面が融け始めます。しかし、雲の上昇気流によって再び0℃よりも冷たい層に再び持ち上げられると、今度は先ほど融けた表面がカチンと凍結……。このような上昇と落下、つまり融けたり凍ったりを幾度も繰り返すうちに大きなひょうに成長し、樹木の年輪のような構造が出来上がるのです。

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