五輪「有観客」「無観客」何を基準にどう考えるか 感染や医療の状況、国民感情との兼ね合いが焦点
緊急事態宣言下の7月23日、東京オリンピックが開幕した。新型コロナウイルス感染症の拡大を懸念して、競技開催地の自治体の多くが「無観客」とする中、宮城県の村井嘉浩知事は「有観客」の方針を変えなかった。
25日のフジテレビ系「日曜報道THE PRIME」(日曜・午前7時半)には、村井知事が仙台市から中継出演し、反対の声をはねのけ、有観客に踏み切った判断について説明した。
知事は、同じ仙台市で行われているプロ野球の試合が多くの観客を入れ、酒の提供もされている一方、比較的少ない観客で酒も提供しない五輪会場の有観客はダメだとの主張がある、と指摘。「命を最優先するのは当然だが、一番問題なのはほかのイベントとオリンピックを切り分けていることだ」と憤った。
番組には、菅義偉首相のブレーン、岡部信彦内閣官房参与も出演した。岡部氏は、政府の新型コロナウイルス対策分科会のメンバーで、大会組織委員会で感染症対策にあたる専門家円卓会議の座長も務める。岡部氏は、東京都で重症患者数が増えた場合について問われ、「重症患者を引き受けられないような状況になれば、同時並行で(五輪を)やるのは、非常に難しい。大会の中止も視点に入れるべきだ」と指摘した。
番組レギュラーコメンテーターの橋下徹氏(元大阪市長)は、菅首相が言及した「パラリンピックの有観客」に関し、「目指していくべきだ」と強調した。一方で、「(大会を)実行するのか、中止にするのか、有観客にするのか、無観客にするのか、事前に基準を決めて、それに照らし合わせて進めていくのが法治国家として当然のことだ。いま、勘に頼った国家運営になっている」と指摘し、国民の不安を払拭できない菅政権に苦言を呈した。
村井知事「スタジアムでクラスターは発生していない」
以下、出演者の主な発言。
松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):村井知事は、仙台市長や医師会の反対にも関わらず、有観客で実施することを判断した。有観客で安全安心なオリンピックは実現できるのか。
宮城県・村井嘉浩知事:私もスタジアムに足を運んだが、非常にしっかりと感染対策がとられている。5万人(収容)のスタジアムに客は3,000人程度だった。一番多いときでも1万人、実質は8,000人ぐらいだ。(収容規模)5万人に(観客)8,000人だから、かなり席を空けて座ることが可能だ。スタジアムでクラスターが発生する事態はない。
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