どこが復興五輪?「被災者は今も放置」残酷な現実

コロナだけでなく原子力緊急事態宣言も発令中

6月下旬、福島県浪江町の帰還困難区域の様子(筆者撮影)
コロナ対応をめぐって賛否の渦巻く中、東京オリンピックがいよいよ開幕する。東日本大震災からの「復興」を掲げて誘致した五輪。ところが、福島の原発は「アンダーコントロール」どころではなく、原子力緊急事態宣言が今も発令中だ。コロナのみならず、原発事故の緊急事態宣言も出たままで開かれる東京五輪。置き去りにされた被災者の声とは――。

組織委に拒まれた地元発案の聖火コース

今年3月25日午前9時40分、東京五輪の聖火リレーが福島県楢葉町・広野町のスポーツトレーニング施設「Jヴィレッジ」をスタートした。リレーはその日の午後、浪江町へ。浪江小学校からは3人の走者が笑顔でトーチを持ち、手を振りながら「道の駅なみえ」まで聖火を運んだ。

その浪江小学校からの聖火を複雑な思いで見守っていた女性がいる。浪江町から首都圏に避難している伊藤まりさん。彼女は最近、フェイスブックメッセンジャーで筆者にこんなメッセージを送ってきた。

「聖火リレーが終わればすぐ解体。ほとんどの国民はそのことを知らないでしょうね(中略)皆さんは私たちが普通の生活ができていると思うのでしょうね。パフォーマンスだけです」

“解体”とは、浪江小学校の校舎のことだ。浪江町は、原発事故で町全域が避難指示区域となり、2017年に町中心部で避難指示が解除された後も人が戻ってこない。事故前には約600人の児童がいた同小も廃校が決まり、校舎の利活用も決まらなかった。

環境省の手で校舎の解体が始まったのは、聖火リレーの翌月。6月に筆者が訪れた際には解体も進み、ロの字型の校舎の一部がなくなっていた。

解体が進む浪江小学校(今年6月26日に筆者撮影)

聖火は浪江町に入る前、双葉町を回っている。ところが、大会組織委員会は町側のつくったコースに同意しなかったという。

次ページどんなコースだったのか
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • iPhoneの裏技
  • グローバルアイ
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 賃金・生涯給料ランキング
トレンドライブラリーAD
人気の動画
イオン「フジ実質買収」で岡田会長が語った未来図
イオン「フジ実質買収」で岡田会長が語った未来図
採用担当者が嘆く「印象の悪い就活生」の共通点
採用担当者が嘆く「印象の悪い就活生」の共通点
ヤマト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算
ヤマト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算
ヤマダ、社長離脱でにわかに再燃する「後継問題」
ヤマダ、社長離脱でにわかに再燃する「後継問題」
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
私大トップ校の次の戦略<br>早慶上理・MARCH・関関同立

受験生確保や偏差値で高い水準を誇る関東・関西のトップ私大13校。少子化や世界との競争といった課題に立ち向かうための「次の一手」とは。大きく揺れる受験動向や、偏差値や志願倍率と比べて就職のパフォーマンスが高い大学・学部なども検証します。

東洋経済education×ICT