半導体受託製造(ファウンドリー)の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の2021年4~6月期の売上高が、四半期ベースで過去最高を更新した。同社が7月15日に発表した決算によれば、4~6月期の売上高は前年同期比19.8%増の3721億5000万台湾ドル(約1兆4663億円)。米ドル換算では132億9000万ドルに相当し、同社が4月に発表した予想値の129億~132億ドルを上回った。
4~6月期の純利益は前年同期比11.2%増の1343億6000万台湾ドル(約5294億円)だった。ただし粗利益率は50%と、直前の1~3月期に比べて2.4ポイント低下し、予想レンジの下限に近い水準にとどまった。
その理由について、TSMC董事長(会長に相当)の劉德音氏は決算説明会で「主な原因は為替変動だ。もし為替相場が1~3月期と同水準だったら、粗利率は50.5%に達した可能性がある」と説明した。
プロセス技術の世代別に見ると、4~6月期は世界最先端の5nm(ナノメートル)プロセスで生産したチップの販売が好調だった。総売上高に占める5nmの比率は18%と、1~3月期より4ポイント上昇。その一方、7nmの比率は4ポイント低下して31%だった。
中国で高性能コンピューティング需要が増加
事業セグメント別の売上比率はスマートフォン関連が42%、高性能コンピューティングが39%、そのほかが19%だった。スマホ関連の比率は1~3月期より3ポイント低下したが、高性能コンピューティングは同4ポイントの伸びを示した。
販売地域別では、総売上高に占める北アメリカ地区の比率が64%、中国と日本を除くアジアが同15%、中国が同11%、EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)が同6%、日本が同4%の順だった。
注目すべきなのは、中国の比率が前年同期比では10ポイント落ち込んだ一方、直前の1~3月期より5ポイント回復したことだ。劉董事長の説明によれば、その背景は(アメリカ政府が中国の通信機器最大手の華為技術〈ファーウェイ〉に対する制裁を強化した)2020年9月15日以降、TSMCがファーウェイ向けの出荷を停止したことと、2021年1~3月期に中国市場で高性能コンピューティングの需要が拡大したことだという。
(財新記者:屈慧)
※原文の配信は7月15日
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