スバル「フォレスター」が根強く売れ続ける理由 大幅改良でSUVらしいフェイスデザインに進化

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スバルの伝統ともいえる水平対向エンジン(写真:SUBARU)

フォレスターの根強い人気は、どこにあるのだろう。それは、スバルの技術的特徴であり、また象徴でもある、水平対向4気筒エンジンと4輪駆動だ。

4輪駆動については、1972年の「レオーネ・バン」での採用から50年近い歴史があり、4輪駆動車の累計生産台数はちょうどこの6月に2000万台を達成した。今日では、電子制御を組み入れることによって、巧みに悪路でタイヤのグリップを確保することが各自動車メーカーのSUVで行われ、性能差がつきにくい面はある。だが、スバルの4輪駆動は、欧米の4輪駆動車に引けを取らない確かな性能で定評がある。

大幅改良モデルのインテリア(写真:SUBARU)

そうした未舗装路での走破性はもちろんだが、そのうえで未舗装路を走ったあとにクルマを降りる際、ドアを開け、車体のサイドシルでズボンの裾のあたりを泥で汚さないような配慮をドアの立て付けに設けるなど、利用するうえでの気遣いもフォレスターのよさのひとつとなっている。走行性能とは異なるが、長年4輪駆動車を顧客へ提供してきた中で気づく配慮といえるだろう。

また、舗装路や未舗装路の区別なく、伝統的な水平対向エンジンは低重心であることが知られており、これは舗装路での高速走行時のみならず、未舗装路で車体が大きく傾くような場面での転倒を予防することにもつながる。実際にSUVが走行中に転倒することはほぼないはずだが、それでも低重心だからという心理的な安心も、スバルを選ぶ理由のひとつになっているように思う。

アイサイトやe-BOXERといった独自性が際立つ

さらに、近年のスバルで忘れてはならないのが、運転支援技術のアイサイトだ。車種を問わず、2つのカメラで前方を認識するステレオカメラ方式を使い続け、同じような運転支援機能であっても、人間の運転感覚に近い応答をし、支援をするので信頼感が高まり、愛用したくなるよさがある。親近感のある応答性は、他社の装置とは異なるスバルならではの特徴だ。そしてフォレスターにはアイサイトが標準装備され、100%装着である点も、グレードを問わず同じ安心・安全性能が得られるという信頼につながっているはずだ。

そのうえで、フォレスターにもスバルのハイブリッドシステムであるe-BOXERが設定され、発売当初の比率が40%であったのが、現在では70%に及んでいる。残念ながら、水平対向4気筒エンジンは、その機構から燃費があまりよくない。したがって、HV(ハイブリッド車)を望む人がスバルでも増え、それがフォレスターの販売を後押ししているといえるだろう。

SUVらしい迫力と、たくましさが増したフロントフェイスデザイン(写真:SUBARU)

6月の大幅改良では、顔つきを中心とした外観の造形の変更や、よりスポーティさを覚えるサスペンション設定、そして最新の新世代アイサイトへの転換などが行われた。

フォレスター販売は堅調であり、さらに競合他社に差をつける改良が今回施されたといえそうだ。25年に及ぼうという歴史の積み上げは、フォレスターをいっそう強力にするとともに、顧客の信頼を掴んで離さない魅力を拡大しているといえるのではないか。

御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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