トヨタの5ナンバーハイブリッド専用車である「アクア」が、2021年7月19日に初めてのフルモデルチェンジで2代目となった。トヨタ初のハイブリッド専用車として1997年に誕生したプリウスが、初代の5ナンバーから2代目で3ナンバー化したことにより、アクアの誕生は5ナンバーハイブリッド車(HV)を望んでいた消費者に朗報となった。
待ちかねたようにアクアは売れに売れ、また初代の基本性能が優れていたことを証明するかのように9年半に及び販売が続けられながら、フルモデルチェンジ前となる今年1月から6月までの半年間で2万台以上が売れていた。これは月平均3300台以上である。圧倒的1位を続けるヤリスも、内訳をみればハッチバック車のHVの1~6月の販売台数は約2万5320台(トヨタ広報による数値)で、月平均は4200台と試算でき、9年以上たったアクアの底堅い人気を裏付ける数値比較になる。
これほど根強い人気の初代アクアのフルモデルチェンジに際し、開発陣がどこを目指すかと論議があったに違いないと想像する。
TNGA採用で、より上質で安心感を得た新型アクア
新型開発のなかで、トヨタが現行プリウスから採用しはじめたTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)の存在は大きかったはずだ。TNGAとは、基本性能を磨き上げ、それを同じ車格の他車種へ展開しながら、余裕を残した資源を個々の魅力をより高めることに投じる開発手法だ。これには先々展開される車種の将来像をあらかじめ想定する必要があり、計画的な新車の投入を促すことにもなる。
新型アクアに通じる小型車のTNGAは、まずヤリスが用い、優れた操縦安定性を発揮した。その基本性能はヤリスクロスにも波及効果をもたらし、背の高いSUV(スポーツ多目的車)であるにもかかわらず、あたかも小型ハッチバック車を操るかのような壮快な運転感覚を備えている。そして新型アクアは、前型に比べ、より「上質で、また安心感のある」クルマを目指したと、トヨタコンパクトカーカンパニーの新郷和晃プレジデントは発表の場で語った。
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