新旧「アクア」比較、10年分の進化はどれほどか プリウスを凌ぐ燃費性能を獲得した新型アクア

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快感ペダル POWER+モード作動イメージ(写真:トヨタ)

RAV4試乗の折にトヨタのHV担当者へ、トヨタのハイブリッド方式ではアクセルのワンペダル操作ができないのか尋ねたところ、できるとの回答だった。だが、従来はその発想はなかったようで、今回、ニッケル水素バッテリーの進化および、もっとも燃費のよい車種にはリチウムイオンバッテリーを採用することにより、日産やホンダが採用するシリーズ式ハイブリッドに近い運転操作ができるようになったといえる。そこが、前型との運転操作における大きな違いだ。

トヨタチームメイト アドバンストパークのイメージ(写真:トヨタ)

アドバンストパークと呼ばれる自動駐車機能の作動で、ヤリスは前進と後退の切り替えを運転者が操作する必要があったが、新型アクアではモーター走行領域が増えたことでそれも自動で行えるようになった。モーター駆動の利用幅を広げると、便利な装備の充実をはかれることを示している。

そのほか、100V・1500Wのアクセサリーコンセントをすべての車種に標準装備したことにより、駐車中に非常時給電モードを選ぶと、そこから家庭電化製品のための電気を取り出すことができる。ただし、電気自動車(EV)のように、自宅へ給電できるわけではない。

EVが注目される中で新型アクアの商品価値とは

新型アクアは、単に燃費のよい5ナンバーハイブリッド専用車という価値だけでなく、自動駐車や電気の取り出しなど、暮らしにより近づいた価値を備えたHVになった。これまで約187万台(そのうちプリウスCとして販売されたアメリカは約24万台)が販売された前型同様、より多くの人に愛される5ナンバーハイブリッド専用車へ、新型アクアは見事にモデルチェンジしたといえるのではないか。

新型アクアの走行イメージ(写真:トヨタ)

新型アクアは、商品性に優れるHVだが、豊田章男社長が唱える「もっといいクルマをつくろうよ」という路線の進化した姿だ。一方、豊田社長は「100年に1度の大変革」が自動車業界に訪れているとも述べており、変革とは、根本から変えて新しくする意味で、消費者の気持ちや行動まで変えてしまうEVこそがその象徴といえる。

ウェル・トゥ・ホイールなど、単にCO2排出量を机上で試算するだけでは計り知れない価値がEVにはある。そこを正しく消費者へ伝える必要があるのではないか。あとは消費者の選択だ。

御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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