スバル「フォレスター」が根強く売れ続ける理由 大幅改良でSUVらしいフェイスデザインに進化

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大幅改良モデル「フォレスター」のスタイリング(写真:SUBARU)

スバル・グローバル・プラットフォームは、骨格を前から後ろまで可能な限りまっすぐ通すことにより、無駄なく車体剛性を高め、操縦安定性と乗り心地の両立を目指す。その成果は、運転のわずかな操作に対しても的確に車両が応答し、運転者の思いどおりの走りを期待できるとともに、不自然であったり唐突な挙動を起こさなかったりするので安心も高まる。また、車体の骨格がしっかりすることで乗り心地も向上する。車内の静粛性も格段によくなり、乗員全員が快適に移動できるSUVとなった。

大幅改良前のフォレスター(写真:SUBARU)

実際、新旧を比べて試乗する機会があったが、運転の手ごたえが素直で、クルマへの信頼がより高まり、乗り心地や静粛性が改善されたことで、長距離移動での疲れも少なくなるだろうと感じた。

4駆動御制御については、もともと定評があり、前型の4代目でもジープのような4駆動車が得意とする荒れ地で不安なく、未舗装路ならではの特殊な運転技量がなくても、安心して走破できる性能を備えていた。5代目も同様に4駆動制御の威力を体験した。北米のみならず日本においても、300万円前後で購入できる本格的な性能を備えたSUVとして、フォレスターは別格の存在といえる。

競合車のひとつ、トヨタ「RAV4」と販売実績を比較

競合車のひとつとして、トヨタ「RAV4」が挙げられる。RAV4は、現行世代となって4輪駆動性能を大きく前進させた。これにより、日常での乗用車としての快適性と、4輪駆動による悪路走破性の両面で満足できるSUVとしてRAV4は、フォレスターの強敵になったといえるだろう。

トヨタの人気SUV「RAV4」(写真:SUBARU)

そこで販売台数の動向をみてみると、直近の6月の実績で、RAV4は5566台で10位、フォレスターは1678台で27位となっており、RAV4はフォレスターの3.3倍以上の売り上げだ。今年1~6月の集計では、RAV4が28383台で13位、フォレスターは11692台で29位の成績である。半年間の集計では、RAV4はフォレスターの2.4倍であり、フォレスターの健闘が見えてくる。

ところで、私はそうした販売実績の台数の背景として、販売店数を確認するのを常としている。トヨタの販売店が5000店以上であるのに対し、スバル広報に確認したところ7月時点で、スバルの販売店数は442店舗であるという。スバルは、1/10以下の販売店で上記の実績を上げているのだ。6月の単月でみると、1店舗でスバルは3.7台以上のフォレスターを売ったことになり、RAV4は1.1台ということで、フォレスターの販売動向は、必ずしもRAV4に負けていない様子がうかがえるのである。

次ページ→なぜフォレスターがユーザーを惹きつけるのか?
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