「死ぬまで低賃金」を嘆く56歳元専業主婦の貧困

美容師の仕事は時給1000円にしかならなかった

50代で亡くなった夫と行こうと言っていた鎌倉の海で(吉田さん提供)
この連載では、女性、とくに単身女性と母子家庭の貧困問題を考えるため、「総論」ではなく「個人の物語」に焦点を当てて紹介している。個々の生活をつぶさに見ることによって、真実がわかると考えているからだ。
今回紹介するのは、「真面目に一生懸命生きてきました。コロナでひとり親には、給付金が何度も出るのに腹が立ちます」と編集部にメールをくれた56歳の女性だ。

雇用はなにより大きなセーフティーネット

大企業のリストラが加速しているようだ。コロナによる業績悪化で非正規だけではなく、正社員切りがはじまり、40代後半である筆者の周囲でも、本人が望んでいない早期退職、希望退職をチラホラ耳にする。男性優位社会の日本では、十数年の時間を費やして女性の貧困が深刻化している。これから、これまで悠々自適だった中年男性たちも、女性たちと同じ境遇になるということだ。

雇用はなにより大きなセーフティーネットである。それを奪われると生活や人間関係が壊れたり、家庭が崩壊したり、最悪死を招いたりする。これまで女性と比べて優遇された男性たちは、苦しむ女性たちに自己責任を押しつけてきた。これからはじまる中年男性の貧困化において、少なくとも女性たちと同じように放置される可能性が高いだろう。

筆者は多くの企業がリストラ対象とする団塊ジュニア世代である。貧困当事者になることへの恐怖に駆られているとき、西日本在住・吉田雅美さん(仮名、56歳)からメッセージがきた。

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「1年半前に夫が亡くなって、年齢も年齢なので正社員で働くところもありません。賃金がすごく安いので、貯蓄もなく、老後が大変不安です。私は、本当にまじめに一生懸命生きてきました。けど、なにも報われません。もう、そろそろ限界です。生きていくことが、しんどくて辛いです(原文ママ)」

またしても、‟真面目に一生懸命生きてきた”中年女性からの切羽詰まったメッセージだ。メールでオンラインで話せるか聞くと、仕事が休みなので大丈夫という。オンラインアプリの画面に映った雅美さんは、年齢よりだいぶ若かった。元美容師、1年半前に配偶者を失い、いまは西日本の郊外でひとり暮らしをしている。仕事は非正規雇用で中小企業のバックオフィス業務をしている。

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