「死ぬまで低賃金」を嘆く56歳元専業主婦の貧困 美容師の仕事は時給1000円にしかならなかった

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美容師は「女の子・新小学1年生が将来就きたい職業」(2020年版、クラレ調べ)で10位だ。真面目な雅美さんは初心を忘れることなく、順風満帆に夢を叶えたが、そこで待っていたのは、どんなにお金が必要でも1日8000円にしかならない現実だった。

「気づきました。働いても、頑張っても、まったく豊かになれない現実です。美容師は好きな仕事ではあったけど、ずっと立ちっぱなし、足腰が本当につらい。トイレに行きたくても、行けない。膀胱炎になって、肩こりとか頻繁です。辞めることにしました」

42歳で美容師を辞めた。少しでも生活が豊かになれる仕事を探すことにした。40代の女性が応募ができる額面月20万円を超える正規職は、なにもなかった。派遣会社に登録して事務職になった。時給900円台。常勤で働いても手取り13万円程度だった。

突然、夫が亡くなった

朝から晩まで働く夫の収入は、すべて借金返済に充てられた。一家は雅美さんの収入だけで生活した。

「自由に使えるお金がほとんどないです。洋服とか化粧品は買えません。買えても100円ショップです。外出する機会もないので洋服は買わないですけど、たまにこれ欲しいってなっても、欲しいものはほとんど買えません。子どもの習い事とか塾も無理。娘は高校になってバイトをしてくれて、奨学金で大学進学してくれたのでなんとかなりました」

そして2019年、突然夫が亡くなった。貯蓄はなく、生命保険もかけていない、病院から請求された医療費もない。葬儀をするお金もなかった。

「私はまったくお金がないので、医療費は娘が、葬儀は親戚がだしてくれました。主人はひとりで背負っていたので、詳しいことはわからないんですけど、消費者金融に私の名前で借りているお金と、車はリースだったので処分するときに残額を払わなくてはならなかった。去年、車の処分で80万円くらいを払って、消費者金融は元金50万円が100万円くらいに膨れあがって、それはまだ返している最中です」

夫と暮らしていた家を出て、いまの部屋に引っ越している。コロナになって残業が禁止になり、収入は手取り15万円を超えることはない。家賃+光熱費、消費者金融への返済で、ほぼお金はなくなってしまう。消費者金融は利子しか払えない。借金はまったく減っていないどころか、増え続けている。

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