セガサミーが「脇役」に?横浜カジノで静かな異変 事業者公募に名乗り、でも過半出資方針は撤回
熱い思いは、いつの間にトーンダウンしたのか――。
6月11日、セガサミーホールディングスは横浜市のIR(カジノを含む統合型リゾート)事業者の公募に提案書を提出し、正式に国内でのIR参入を目指すことを表明した。
シンガポールのIR運営大手であるゲンティン・シンガポールのほか、綜合警備保障や鹿島など6社でコンソーシアムを組んだ。2020年代後半の事業開始に向け、セガサミーだけで最大1200億円を投じる。
IR誘致ではまず自治体が、パートナーとなる運営事業者を選定。自治体と事業者は共同で区域整備計画を策定し、2021年10月から2022年4月までに国に申請する。国は提案内容を基に、国内で3カ所を上限にIR整備を認める。
この枠組みに沿い、横浜市は年明けから6月まで、事業者の提案を公募。セガサミーの陣営を含めて2グループが名乗りを上げた。同市は今夏にパートナーを決定し、大阪や長崎など他の候補地との競争に臨む。
国内IR参入は悲願だったはずだが・・・
セガサミーにとって国内IR参入は、里見治紀社長の父でサミー創業者である里見治会長の悲願だった。里見社長はその意思を受け継ぎ、IR施設の企画・設計などの準備費用として年間数十億円を投じてきた。2017年には韓国企業と合弁を組み、現地でIR施設「パラダイスシティ」を開業。積極的に社員を派遣し、運営ノウハウを蓄積してきた。
そんなセガサミーが満を持して示した横浜IR計画だが、これまで掲げていた方針から大きく転換した点がある。コンソーシアムが設立を目指す合弁会社において、セガサミーは出資比率を半数以下に抑える見込みなのだ。
従来、里見社長は国内IR事業を他社と共同で行う場合、主導権を取ることにこだわりを見せていた。仮に外資のIR企業と合弁を組むとなれば、外資と同等か、それ以上の資本を握ることを大前提としてきた。
それがいざふたを開けると、コンソーシアムの代表企業は外資のゲンティンで、セガサミーは「グループ構成員」という肩書きだ。詳細な出資割合は明らかにしていないが、主導権はゲンティンが握ることになる。
実はセガサミーのIRに対するスタンスは、水面下で弱腰へと変化していた。
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