「カンヌ映画祭」を乗り切った感染対策の凄い中身 ワクチンパスポートやコロナ探知犬などフル活用

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新型コロナの感染拡大を防ぐため、コロナ探知犬も開幕前日の7月5日からカンヌに2匹投入された。発達した犬の嗅覚を使って、人間の手、足、腕、鼠径部の発汗から新型コロナの感染者かどうかを嗅ぎ分けるという。探知の精度はPCR検査より高いそうだ。

仏メディアのフランス3によると、探知犬により新型コロナ感染者を探す技術の研究は、パリ郊外のメゾン・アルフォール獣医学校で1年前に始まった。探知犬の訓練期間は15日間しかかからず、どんな犬でも探知ができるそうだ。現在はパリ近郊、コルシカ島、ボルドーなどで訓練が行われており、南仏の中心都市マルセイユでは、主にモロッコとをつなぐフェリー客の匂いを嗅いでいる。実際にカンヌの映画祭会場近くを歩いていても、コロナ探知犬と思われる犬を連れた警察官とすれ違うことがあった。

映画祭会場の近くで犬を連れて歩く警察官(写真:筆者撮影)

加えて、今年のカンヌ国際映画祭は、物理的な接触を大幅に減らした。例年であれば、映画祭の取材パスを受け取ると、同時に大量の印刷物が渡されたが、今年はそれがない。印刷されたパンフレットやチラシなど、アナログな告知手段を大幅に削減したからだ。

この方針変更は、実は感染症対策というよりは、印刷物を減らすことで環境に対しての負荷を減らすというのが主な理由ではあるが、感染対策にも役立っていた。上映チケットなどもすべてオンラインでの手配に変わった。

クラスター発生のフェイクニュースが流れる

このような対策を取って臨んだ映画祭だったが、開催期間中に、「カンヌでクラスターが発生した」という噂が広がったこともあった。開幕日のレッドカーペットでゲストたちがマスクをせず、ルールで禁止となっていたお互いに頬を近づけて行うフランス流の挨拶を交わす様子がSNSなどで拡散。そこに尾ひれが付いた。

噂の広がりを案じた映画祭ディレクターのティエリー・フレモー氏は、会期中の7月10日に「カンヌのクラスターはない」と否定。「昨日は3000件の検査を行ったが、陽性はゼロだった」と噂の火消しに躍起となった。

映画祭会長のピエール・レスキュール氏も、Twitterで「開幕前日は1人、開幕以降は1日平均2人だ」と陽性者は低く抑えられていることを説明した。

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