ぶっちぎりで上昇した海運株の今後はどうなるか 日経平均株価の上昇確率は以前より高まった
昨年11月と言えばアメリカの大統領選挙があった月だが、海外投資家はこれを境に、世界の景気敏感株である日本株を買い越しに転じた。このように、やはり海外投資家は、日本株の騰落を左右する「スイングファクター」だ。彼らが買い越しに転じれば、日本株も大きく上昇することが非常に多い。日経平均株価も2万4000円手前(2020年11月)から、ザラ場高値の3万0700円台(2021年2月)まで一気に上昇したのは記憶に新しい。
さて、次に確認したいのは、「外国法人等の『業種別』保有比率の状況等」だ。これを見ると、昨年度は前年度比で33業種中19業種が増加した。そのうち「トップ3」を挙げると、1位:海運業+5.1ポイント、2位:金属製品+4.7ポイント、3位:その他製品+2.3ポイント。一方、「ワースト3」は、33位:鉱業-9.3ポイント、32位:医薬品-2.6ポイント、31位:保険業-2.4ポイントだった。
冒頭では今年1~6月の騰落率を挙げたが、昨年度(2020年4月~2021年3月)で見るとTOPIX+39.27%、日経平均+54.25%に対し、「海運業」はなんと+147.96%と33業種のなかで断トツの上昇率となっている。
やはり「生き馬の目を抜く」ともいわれるプロ投資の世界で、海外投資家は、先々をしっかり見通して投資をしているようだ。このように、今までの相場に乗れたかどうかをチェックしてみることは、今後の相場に備えるためにも必要な作業だと思う。
「海運株」の今後はどうなる?
さて、海運株が海外投資家の買い越しによって好調に推移してきたことがわかった。海外投資家は新型コロナのワクチン接種による世界的な経済回復による海上貿易の復活などを先回りして買ったことになる。具体的には、商品市況の急騰による運賃急上昇や、好調な欧米や米中の運賃などが上昇した。海運各社の株価上昇は、このような業績回復によるバリュエーション面での魅力回復や、財務体質の改善による増配が予想されていることも株価上昇の要因になってきたとみるべきだろう。
では、ここからの海運株の行方はどうなるだろうか。具体的な論点を4つ挙げてみよう。
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