7月10日、中国のインターネット規制を所管する中国国家インターネット情報弁公室は「サイバーセキュリティー審査弁法」の改定案を発表した。財新記者が改定案と現行規定を比較したところ、改定案には修正箇所が15カ所あった。今回新たに追加された条文の多くは、国境をまたいだデータのやりとりにおける潜在的リスクを回避するのが狙いだ。なかでも中国企業の海外上場に関するデータセキュリティーが強調されている。
現行の規定は国家インターネット情報弁公室、国家発展改革委員会、工業情報化省、公安省、国家安全省など12の政府機関が共同で起草し、2020年6月1日に施行された。情報インフラの運用管理者がネットワーク上で使われる通信機器やサービスを導入する際、(それらが導入後に)国家の安全保障に影響を与える可能性がある場合は、当局に審査を申請しなければならないと定めている。
今回の改定案では、サイバーセキュリティー審査に携わる前出の政府機関に、新たに中国証券監督管理委員会が追加された。
IPOの目論見書なども提出する必要
改定案の新たな条文のなかで、ひときわ目を引く内容となっているのが第6条だ。「100万件以上のユーザーの個人情報を保有する事業者が、海外で上場をする際には、(国家インターネット情報弁公室の下部組織である)サイバーセキュリティー審査弁公室に対して事前に審査を申請しなければならない」と明記されている。市場関係者の間では、個人向け事業を手がけるネット企業の大多数がこの規定の対象になると見られている。
同じく新たに追加された第8条では、「サイバーセキュリティーの審査を申請する際に、当該事業者が上場を計画している場合、IPO(新規株式公開)の申請資料を提出しなければならない」としている。これは目論見書などの上場申請資料も、(海外の証券取引所に提出する前に)中国政府の事前審査が必要となることを意味している。
最近の中国当局の規制強化を受けて、アメリカ証券取引委員会(SEC)に目論見書を提出した複数の中国企業がすでに上場計画を変更した。 財新記者の取材によれば、その中にはオンライン音声コンテンツプラットフォームの喜馬拉雅科技(ヒマラヤ)や、シェア自転車のプラットフォームの哈囉出行(ハローバイク)などが含まれている。
(財新記者:関聡、銭童)
※原文の配信は7月10日
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