大手タクシーが「車窓広告」に本腰を入れる理由 国内初、プロジェクター使い窓ガラスに投影
タクシー車内広告は、ビジネスマンの利用が多いタクシーに配信できるとあって人気を博している。GROWTHでは数カ月先まで広告枠が完売することも珍しくないという。タクシーの車内広告サービスは、ほかにもタクシー配車アプリ国内最大手の「Mobility Technology」の子会社アイリスが提供する「東京プライム」などがある。
こうした広告にタクシー会社が注力するのには理由がある。本業であるタクシー事業からあがる利益が小さいのだ。
キャッシュレス普及が経営の打撃に
タクシーの運賃は国土交通省の認可を受ける必要があり、営業地域ごとに基準となる運賃の幅が示されている。幅の上限を超えた運賃を設定することができず、タクシー会社は経営判断だけで値上げできない。
運賃を認可するうえで認められている利益率は1.2%程度と相当低く抑えられている。コロナ禍前である2019年3月期の大和自動車交通の営業利益率は2.2%。タクシー・ハイヤー事業単体で見ると1.3億円の赤字だった。
キャッシュレス支払いの拡大もタクシー会社の経営に打撃を与えている。大和自動車交通の場合、2017年3月期に37.3%だった現金以外での支払い比率は2021年3月期には53.6%に上昇した。
キャッシュレス決済を使うと、売り上げの約3%相当の手数料をタクシー会社がカード会社などに支払う。だが、運賃を認可する際、この手数料はタクシー会社の費用として十分に考慮されていない。
大和自動車交通の前島忻治会長は「お客さんの利便性向上として、キャッシュレス支払いが増えてきており、これも明確に原価(費用)として認めてもらわないと、キャッシュレス支払いだけで赤字になってしまう」と訴える。
タクシー配車アプリなど、顧客の利便性向上のための開発費用も増えている。コロナの影響もあって接触機会を減らして利用できる配車アプリの利用者は増えており、乗り遅れると客足が遠のき、競争上不利になりかねないためだ。
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