「電動キックボード」普及に向けた高いハードル 次世代モビリティとして受け入れられるか

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都市部を中心に広がりを見せる電動キックボード。写真は、渋谷駅近くで並べられていたシェアリングサービスの機体(記者撮影)

6月上旬、東京・渋谷の街中で見慣れない乗り物でさっそうと駆け抜ける若者を目にした。一見すると、足で地面を蹴って進む遊具のキックスケーターに思えたが、よく見ると電動モーターがついており、地面を蹴らずともスイスイと前に進んでいく。

これは電動キックボードと呼ばれる乗り物で、ネット通販などで手軽に購入できる。価格は3万円前後の手頃なものから、10万円を超えるものまであり、若者を中心に人気がある新たな移動手段の1つだ。

そんな中、電動キックボードに乗るうえで交通ルールやマナーを守らないケースが出始めている。5月には大阪府中央区難波の歩道で、電動キックボードを使用する30歳の男性が、歩行中の48歳の女性にぶつかる事故が発生。女性は首の骨を折る重傷を負った。

実は電動キックボードは道路交通法上では原動機付自転車に該当する。従って、運転免許証が必要なのはもちろん、原付バイクと同じようにナンバープレートやバックミラー、方向指示器などの設置が義務付けられる。だが、事故を起こした男性の電動キックボードはこういったものが整備されていなかった。

通販サイトで購入できる電動キックボードは、原動機付自転車としての条件を満たしていないものが目立つ。そのため公道で走るための整備は購入者に任されている場合が多い。サイト内で「私道のみ走行可」といった注意書きもせずに販売している業者もあり、入手しやすい反面、違法性については世間に浸透していないのが現状だ。

始まったシェアリングサービス

こうした問題をクリアすべく、電動キックボードの安全な普及に向けたある取り組みが始まっている。4月から国の特例措置を受けた4社が、東京や大阪、福岡など6都道府県で電動キックボードのシェアリングサービスの実証実験を開始した。

特例制度を用いた企業が貸し出す機体について、国は「特例電動キックボード」と定め、最高時速15キロメートルの小型特殊自動車として位置づけている。特例措置として、ヘルメットの着用が任意となり、自転車道の走行も可能だ。市販されている電動キックボードは法律上、違う乗り物として区分されている。

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