アマゾンCEOの「宇宙追放署名」が支持を集める訳 賛同者は14万人超え…背景にある貧富の差

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ベゾス氏の名誉のために申し添えるなら、イーロン・マスク氏やビル・ゲイツ氏などほかの億万長者と同様、ベゾス氏も慈善活動への寄付を行なっている。米フォーチュン誌は、2020年に最大の寄付を行なったのはほかならぬベゾス氏であったと報じている。その額は100億ドルという巨額で、資金によって設立された「ベゾス地球基金」を通じ、気候変動に関する複数のNPO団体を支援する計画だ。

ほかにもあるユニークな署名キャペーン

億万長者というのはいつの世も人々の反感の対象となるもので、署名収集サイトの『Change.org』にはこれ以外にもさまざまなキャンペーンが展開されている。ベゾス氏の名前で検索すると、ヒットする署名活動は800件を超える。

最も目立つのは、気候変動を防止し持続可能な食料調達を実現するなど、環境活動への支援を要望する真っ当なものだ。過去にアマゾンの熱帯雨林で起きた火事への支援を乞うものなど、社名にかけたキャンペーンも見受けられる。

しかし、なかには「ジェフ・ベゾスにモナリザを購入して食べてほしい」など無茶な要望も見られる。発起人は、「誰もモナリザを食べたことがないので、ジェフ・ベゾスが姿勢を明確にし、実行した方が良いように思う」と説明している。発起人はニューヨーク・タイムズ紙に対してジョークだったと述べているが、訳のわからないほど巨額の富には訳のわからない用途が似つかわしい、との若干の皮肉も含まれているようだ。

ジョークに便乗し、モナリザの方こそベゾス氏を食べるべきだとする嘆願も登場した。「誰もジェフ・ベゾスを食べたことがないので、モナリザがこれに気づき、実行に移した方が良いように思う」と、キャンペーン概要も本家のオマージュになっている。

ちなみに本題の帰還防止キャンペーンだが、本件への対抗としてか、6月21日には「ジェフ・ベゾスの地球帰還を歓迎しよう」という署名活動がスタートした。氏はかけがえのない天才だと主張するこのキャンペーンは、70名少々の賛同を集めている。14万筆には遠く及ばずとも、少なからず擁護する動きはあるようだ。

青葉やまと
フリーライター・翻訳者。都内大手メーカー系システム会社での勤務を経て、2010年に文筆業に転身。文化・テクノロジー分野を中心に、複数のメディアで執筆中。本業の傍ら海外で開かれるカンファレンスの運営にも携わっている。
「ニューズウィーク日本版」ウェブ編集部

世界のニュースを独自の切り口で伝える週刊誌『ニューズウィーク日本版』は毎週火曜日発売、そのオフィシャルサイトである「ニューズウィーク日本版サイト」は毎日、国際ニュースとビジネス・カルチャー情報を発信している。CCCメディアハウスが運営。

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