東大生が解説!考えるのが「下手な人」のムダ時間 「考えるのがうまい人」は何をしているのか

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ただ、結論から言えば、僕も彼らの考えた時間はムダだったとはまったく思っていません。大前提として「考える」ということ自体は大変すばらしいことだと考えています。

 思考のゴールをつねに意識する

それでは、どうして「考える時間にはムダがある」などと言い出したのかというと、この「考える」というツールは適切に用いなければまったく機能しないものであるからです。具体的に言えば、自分がどのような結論にたどり着くことができればよいのか、という思考の目標をしっかり見据えていなければ、思考という行為はまったくの徒労に終わってしまうのです。

「考える」という手段は、ちょうど電車の乗り換え案内に似ています。特に東京や大阪など地下鉄などが複雑に入り組んでいる地域にお住まいの人などは、乗り換え案内アプリのお世話になっている方は多いと思います。自分の現在地と目的地の最寄り駅を入力して検索をかければ、すぐに「一番早く着く経路」「一番交通費が安くてすむ経路」「一番乗り換え回数が少なく楽に着く経路」などさまざまなパターンが出てきますね。

しかし、この乗り換えアプリが役に立つのは、あくまで出発点と目的地がハッキリしているときでしかありません。目的地がないのに乗り換えアプリを使おうとしても、どこに行くのかがハッキリしていない以上、乗り換え案内は適切に機能しません。

考えることもこれと同じです。考えるという行動は、自分の考える出発地点と理想の状態をつなぐプロセスを明らかにするという行為であり、取りあえず困った時に考えればすべて解決するというわけではありません。

具体的に考えてみましょう。ある数学の問題がわからないときに、「どうすれば解けるのだろう?」と考えても答えが出ないのはなぜでしょうか? 「どうすれば解けるのだろうか」という問いも、一応は目的地を設定してはいますよね。考えることと乗り換え案内が一緒なのであれば、目的地がわかっていればすぐに答えは出せるはずです。

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