ワクチン接種でも泥縄式に終始する日本の大雑把

「結果オーライ」ではダメと学ばねばならない

政府は2021年6月1日に「ワクチン開発・生産体制強化戦略」を閣議決定し、迅速な承認を可能にするとしているが、その目指すところは「本年中に方向性について結論を出す」ことであり、制度改革までの道のりは長い。

ワクチン調達をめぐる「泥縄」

ワクチン調達に関しては、日本は意外に早くから動いていた。2020年7月末にはファイザー社とワクチンを6000万回分供給する「基本合意」ができており、順調にいけば早い段階で調達が始まるはずであった。しかし、2020年夏の「第2波」が収まったことでワクチンの必要性の認識が薄れ、副反応による健康被害の補償などの調整が遅れたため、予防接種法の改正案が国会に提出されたのが11月となり、法改正が成立するのが12月となった結果、承認も調達も大幅に遅れた。

そこで、菅内閣は河野行政改革担当大臣に2021年1月からワクチンの調達をする任務を与え、そこから急速にワクチン調達が進み、4月中旬の菅首相訪米の際に、ファイザー社のブーラ社長と電話会談し、ワクチンの提供を念押しすることで、国内での接種に必要な回数分が確保できるようになった。

これは河野大臣の個人的な能力や政権全体の危機感を反映したものであり、EUがワクチンの輸出規制をかける中でも日本向けの輸出許可を取るなど、外交的な資源を総動員してワクチン調達を実現した結果である。しかし、これも「泥縄式」の対応であったことには変わりがない。

ワクチン接種をめぐる「泥縄」

ワクチンを承認し、調達量を確保できても、最終的に接種に至らなければ意味はない。しかし、ここでも問題は山積している。

まず、コロナ民間臨調でも扱った、国と地方自治体の間の調整問題がある。ワクチンに関しては国が調達し、地方自治体に供給するが、どのように接種を進めるかは自治体任せとなっている。特に問題になったのは公平性を重視して何の制限もなく早い者勝ちで予約を入れる方法が多くの自治体で取られ、その結果、何度電話してもつながらない、ウェブサイトがつながったと思ったら予約枠がなくなっていた、といった問題が起きた。

ここでも「泥縄式」の対応として、自衛隊が運営する大規模接種会場を東京と大阪に設置し、接種機会を増やすことで自治体の負担を減らすという方法が導入された。これを先行事例として政令指定都市も大規模接種会場を設けて予約枠を広げることにつながり、ワクチン接種が加速した。また、職域接種を可能にすることで、自治体とは異なるルートを設定し、ワクチンも自治体にはファイザー社の、職域接種にはモデルナ社のワクチンを用いることで相互に住み分ける方法がとられた。

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