ワクチン接種進んでも感染拡大「英国」の悩ましさ 「悪夢の再来」は怖いが、制限は緩和する方向

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どの国がどのグループに入るかは、イギリス及び訪問国の感染状況によって変わる。先月、政府は観光地として人気が高いポルトガルを「グリーン」から「アンバー」に突如変更。多くの人が大慌てて旅行計画を変えざるを得なくなった。

筆者の隣人シベルさんはトルコ出身だ。夫とともにワクチン1回目を接種。2回目は8月上旬接種の予定だ。8月末には「兄が結婚するので、トルコに戻って結婚式に出たい」。トルコは現在、帰国後に自主隔離が必要なアンバーの国だ。事実上の訪問禁止国=レッド=になるのか、あるいは隔離が不要のグリーンになるかは今のところわからない。「先が読めないから、一切、準備していない」という。

変異株の影響は?

デルタ株が主因となっている今回の感染拡大は、これまでのピークと比較すれば、感染者数、新規入院者数、死者数のいずれもはるかに少ない。ワクチンもかなり普及している。しかし、昨年夏、ロックダウン効果で感染データが劇的に改善し、政府の外食奨励策を率先して利用した国民を待ち受けていたのは、秋から冬にかけての感染急拡大だった。

デルタ株がこれまでの変異株よりも感染率が高いことはわかっているものの、重症率が高いのか低いのかを含め、さまざまな点がまだ明確になっていない。また、インドではすでにさらに新たな変異株「デルタプラス」が広がっている。

新たな規制の完全解除の日、「フリーダム・デー」は、イングランド地方では今月19日だ。それ以降、集合人数の規制やマスク着用義務は解除されるが、イギリス医師会は「デルタ株による急速な感染者数の増加や人と人との交流が増えている」ため、継続したマスク着用を呼びかけている。

大型スポーツが開催されるようになり、店舗も開いている。しかし、「先がどうなるかわからない」のがイギリスに住む人の共通の思いだ。昨年来、学んだ教訓は、「コロナは侮れない」だった。ワクチン接種が進んでいても、安心できないのが今のイギリスだ。

小林 恭子 在英ジャーナリスト

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こばやし・ぎんこ / Ginko Kobayashi

成城大学文芸学部芸術学科(映画専攻)を卒業後、アメリカの投資銀行ファースト・ボストン(現クレディ・スイス)勤務を経て、読売新聞の英字日刊紙デイリー・ヨミウリ紙(現ジャパン・ニューズ紙)の記者となる。2002年、渡英。英国のメディアをジャーナリズムの観点からウォッチングするブログ「英国メディア・ウオッチ」を運営しながら、業界紙、雑誌などにメディア記事を執筆。著書に『英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱』。

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