ただし、現在も地方によって若干のばらつきはあるものの、同居していない家族や友人らと室内で会う場合は「6人まで」、戸外で人と集まる時は「最大30人まで」、「イベント会場での人数限定」など、いくつかの制限がある。こうした制限のすべてを取っ払うのが、「フリーダム・デー」のはずだった。
しかし、ここ1〜2カ月のデルタ株の感染拡大で、先行きに不透明感が出た。
政府の統計によれば、7月3日時点で1日当たりの感染者数は2万4885人。第2派のピークとなった年末年始の5万人から8万人と比較すると、大きな減少だが、この日までの1週間(6月27日〜7月3日)の合計感染者数を前週と比較すると、66.9%増となっている。増加の主因は、ケント株よりも4倍ほどの感染力を持つデルタ株だ。
1日当たりの新規入院者数は358人(6月29日時点)。ピーク時の昨年秋は1200人を超えていた。死者数は18人。ピークであった今年1月末の約1300人から激減しているが、コロナによる死者数はすでに12万8000人を超えており、「悪夢の再来」が怖い。感染者の急増が「数千人規模の死者」につながるというジョンソン首相の言葉は科学者のアドバイスを基にしており、迫る怖さを国民に伝えた。
マスクとディスタンスは「日常の風景」に
現在、通りを歩くと、マスク姿が目につく。マスクは戸外では着けなくててもよいのだが、公共交通機関の利用や店舗の室内に入る時に着けることが義務化されているので、外でも付けたままにしている人が多いのである。ロンドンの駅構内にはあちこちに、マスクの着用を奨励するプラカードなどが置かれている。
第1派、2派の際のコロナ対策と比較すると、「感染防止策を取る」ことが日常の生活にしっかり組み込まれているのが、大きな違いだ。もはや「緊急策」ではない。
例えば、筆者は市営のスイミングプールに通っているが、個人情報を入力して予約することが必要となった。予約時間の少し前に、洋服の下に水着を着た格好でプール施設の前に立つ。施設内で待つことは許されない。時間になると、施設の係員がタブレットを持って現れ、1人ひとりの名前をチェックしていく。コロナ前のように、予約なしにふらっと行っても入れない。縦25メートルのプールで、筆者が泳いだレーンには5人ほどしかいない。コロナ前と比べれば、がら空き状態である。
視力検査のため、病院の眼科を訪れる機会があった。昨年は、「2メートルのソーシャルディスタンスを置いてください」というメッセージを書いた紙が待合室の席に置かれ、人々はそれぞれ距離を置いて座っていた。
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