双子パンダが飲む「混ぜて使う人工乳」意外な中身 「上野赤ちゃんパンダ」の今をマニアックに解説

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ぬいぐるみを置いたのは、双子の一方が保育器にいないときの代わりにするためか、あるいはシャンシャンの大きさと簡単に比較するためだろうかと筆者は考えたが、違った。

上野動物園によると、保育器にいる赤ちゃんに母乳を飲ませやすいよう、ぬいぐるみを下に敷いて、高さを出しているという。記事冒頭の画像は、赤ちゃんの下のふくらみに、ぬいぐるみが入っている。

「タオルでもなんでもよかったのですが、段差をつけるに当たり、ちょうどよい大きさのもの(ぬいぐるみ)が近くにあったので使ったと聞いています」(大橋課長)。ぬいぐるみは消毒しており、すぐ使えるように、保育器内の隅に置かれている。

小池都知事「名前を募集することになる」

東京都の小池百合子知事は、シャンシャンの中国返還時期の延長など、折に触れて、パンダのことを会見で話してきた。だが、シンシンが双子を産んだのは、都が小池知事の静養入りを発表した数時間後。そのため、小池知事が双子誕生を語る機会はなかった。

公務復帰を果たした翌日(7月2日)の会見で、早速、双子パンダついて「この後、名前の募集をすることになりますので、そのときはまた改めてお伝えをしたいと思います」と述べた。4年前は、小池知事が「シャンシャン」の名前を発表している。

現在は、シンシンが双子を交互に育てているが、2カ月ほど経てば、2頭が同時にシンシンの前に姿を見せるときが来る可能性がある。シンシンはそのとき、どんな反応をするだろう。これまでに5組の双子を育てあげたアドベンチャーワールドの良浜(らうひん)も、保育器との「入れ替え」方式で育てた。良浜は双子が登場した瞬間、驚いたような反応をみせたものの、何事もなかったように双子を抱いたり舐めたりしたそうだ。

パンダは単独で生きる動物なので、飼育下でも通常は1頭で過ごす。例外は、①繁殖期の雄と雌の同居、②母子の同居(一般的な期間は、子が1歳~1歳半ごろになるまで)、③双子など同じ年に生まれたパンダの幼少期の同居などだ。筆者は中国で、6頭の子パンダが一緒にいる場面を見たことがある。

カナダで2015年10月に生まれた雄と雌の双子。撮影した2019年4月時点は、3歳半で一緒の部屋にいた(写真:筆者撮影)

一般的にパンダは、兄弟姉妹でも年齢が違えば同居させない。大きくなってからはもちろんのこと、幼い頃でも、年齢の低いパンダが体格の違いで、ほかのパンダに襲われる危険があるためだ。

しかし双子なら、長ければ満4歳ごろまで同居でき、互いに遊び相手になれる。上野動物園でも今後、母子3頭が一緒に暮らす様子を垣間見ることができるかもしれない。

中川 美帆 パンダジャーナリスト

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なかがわ みほ / Miho Nakagawa

福岡県生まれ、早稲田大学教育学部卒。毎日新聞出版「週刊エコノミスト」などの記者を経て、ジャイアントパンダに関わる各分野の専門家に取材している。訪れたパンダの飼育地は、日本(4カ所)、中国本土(11カ所)、香港、マカオ、台湾、韓国、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、カナダ(2カ所)、アメリカ(4カ所)、メキシコ、ベルギー、スペイン、オーストリア、ドイツ、フランス、オランダ、イギリス、フィンランド、デンマーク、ロシア。近著『パンダワールド We love PANDA』(大和書房)

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