なぜ米カジノ大手はアジア進出に熱心なのか 過当競争に陥るアメリカのカジノ

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カジノ事業者の収益力は急低下

カジノの施設当たりの収益性は、対象エリアにおける居住者の金融資産量と施設数で決定します。金融資産量はカジノの潜在市場規模を示し、それを施設数で割れば一施設あたりの収益力を測れます。

各国の「個人金融資産量/カジノ施設数」、すなわち「カジノ一施設当たり平均の個人金融資産量」(純金融資産100万ドル以上を有する富裕層を対象)をみると、米国は「1180兆円/930施設=約1兆円強」です。一方、マカオは「400兆円/35施設=約11兆円」、シンガポールでは「100兆円/2施設=約50兆円」です。米国は個人金融資産量こそ大きいものの、過当競争の結果、施設数が多すぎて、一施設当たりの市場規模が希薄化しているのです。

米国では2000年以降、カジノ施設が急増し、過当競争が顕著となりました。「EBITDA(利子、税金、償却費を控除する前の利益。事業のキャッシュフローの指標)/施設構築投資額」をみると、2000年前に開業した施設群は、ラスベガスでは約15%、リージョナル(地域)では約30%、と高水準でしたが、2000年以降に開業した施設群は、ラスベガスでは約2%、リージョナルでは約12%まで低下しました。

一方、アジアでは、施設量コントロールの結果、マカオのコンセッション保有6社計の営業利益は約6000億円、シンガポール2施設計(2社計)の営業利益は約2000億円(2013年実績推定)と、カジノ産業は継続的に巨大な利益を創出しています。

米国グローバル事業者はアジアに依存

米国のコマーシャルカジノ事業者(部族民カジノを除く)は、グローバル事業者、リージョナル事業者に大別できます。グローバル事業者は米国を拠点に、世界に事業展開する事業者であり、主にLas Vegas Sands(LVS)、MGM Resorts International(MGM)、Wynn Resorts(WYNN)、Caesars Entertainment(CZR)などがあります。リージョナル事業者は米国内の地域展開を主体とする事業者であり、大から小まで多数存在しますが、大手にはAmeristar Casinos、Boyd Gaming、Penn National Gaming、Pinnacle Entertainmentなどがあります。

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