上場企業の9割が検討するM&A、6つの「買収戦略」 「日本企業が生き残る」ために、何が必要か

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上場企業の9割が検討するM&A、6つの「買収戦略」について解説します(イラスト:tiquitaca/PIXTA)
元々は三菱商事で商社マンだった藤井一郎氏は、M&A業界に転身して約15年間、M&Aコンサルタントとして数多くの中堅・中小企業のM&A案件を担当し、譲渡価格で200億円超の案件も成約に導いてきた。現在は新進気鋭のM&A仲介会社インテグループの社長として、コンサルタントに対する助言および経営業務に専念している。
「中小企業M&Aの最新の動向を盛り込み、中小企業のM&Aに関わる方々にとって最も役立つ入門書をつくりたい」との思いから、「買い手」「売り手」「仲介会社」「ファンド」などさまざまな視点ですべて公開した『M&A仲介会社の社長が明かす 中小企業M&Aの真実 決定版』を上梓した藤井氏が、「上場企業の9割が検討するM&Aの6つの『買収戦略』」について解説する。

なぜ企業は、ほかの企業・事業を「買収」するのか?

私は、M&Aの専門家として、これまで15年以上にわたって、優に1000人を超える経営者のM&Aの相談にのり、多くの企業をみてきました。

特に上場企業では、「M&Aによる買収」を検討すらせずに、完全自前主義を貫いている会社は少数で、9割方は買収を検討するようになっています。そして、多くの上場企業は、売り上げ数億円から数十億円の中堅・中小企も買収対象としています。

『M&A仲介会社の社長が明かす 中小企業M&Aの真実 決定版』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

そもそもなぜ企業買収をするのでしょうか? それは、会社が株主等のステークホルダーに報いるためには、業績を上げて、会社を成長・発展させていかなければならないためです。そのためには、「優秀な人材」「新規顧客」「新しい商品・サービス」「技術」「情報」「ブランド」などのさまざまな経営資源も確保しなければなりません。

M&Aの必要性は、「これらの経営資源、事業を自ら育てることに失敗するリスクを軽減して、時間を節約して出来上がっている経営資源、事業を買う」というところにあります。

では、どのような戦略に基づいてM&Aが行われるのか。買収戦略は、買収対象会社の「商品・サービス」および「市場・顧客」がそれぞれ自社と同じか異なるかによって6つに分類できます。本記事では、その6つの「買収戦略」について考察したいと思います。

次ページ1つめの「買収戦略」は?
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