上場企業の9割が検討するM&A、6つの「買収戦略」 「日本企業が生き残る」ために、何が必要か

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5つめは、「周辺分野への進出」です。

「シナジー」を求めない買収もある

【買収戦略⑤】周辺分野への進出

市場や商材は完全には重なっていませんが、事業領域を広げていくために行う買収です。

このカテゴリーのM&Aは、買い手の事業の周辺分野ではあっても、「市場・顧客」も「商品・サービス」も厳密には違う会社の買収になるので、一見シナジーがあるように思えても、直接のシナジーをすぐに出すのは難しいので注意が必要です。

シナジーを創出するには、中長期的に、買い手と売り手のビジネスの溝を埋めるようなビジネスを自らつくっていくか、さらなる買収を進めていく必要があります

【買収戦略⑥】新規事業の獲得

現状のビジネスでは、今後大きな成長が期待できない場合、第2、第3の事業の柱をつくっていくために、新規事業を買収するケースです。

人口減少時代の日本においては、今後成長が見込まれる業界というのは限られているため、既存事業の売り上げ成長に陰りが見えはじめたときに、新規事業の買収を検討しだす会社が増えます

新規事業の買収では、経営手法、人材活用、企業文化の導入により相乗効果を生むことができるかもしれませんが、事業上の直接のシナジーは求めることができません

M&Aはシナジーがなければならないということはありません。シナジーを求めるかどうかは戦略上の問題ということになります。

「M&A」はビジネスパーソンとして「必須の教養・知識」

ここまで、M&Aの買い手の視点から、なぜ企業買収をするのか、どのような戦略で企業買収を検討するのかをみてきました。

今後も、中長期の傾向としては、日本の中小企業のM&A件数は間違いなく増えていくでしょう

「M&Aはビジネスパーソンとして必須の教養・知識」になってきていますので、「M&Aといわれても、まだよくわからない」という方は、この機会にM&Aについて、じっくり学んでみてはいかがでしょうか。

藤井 一郎 インテグループ代表取締役社長

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ふじい いちろう / ichiro Fujii

1997年に早稲田大学政治経済学部を卒業後、三菱商事に入社。その後、米国サンダーバード国際経営大学院にてMBAを取得。2007年にM&A仲介・アドバイザリーのインテグループ株式会社を設立し、代表取締役社長(現任)に就任。中堅中小オーナー企業、上場企業、バイアウトファンドなどを顧客に、これまで100件以上のM&A成約に関与。2016年を最後に自ら案件を担当することをやめ、その後は、M&Aコンサルタントの採用・育成、コンサルタントに対する助言および経営業務に専念している。著書に、ビジネス交渉の分野でのベストセラー『プロフェッショナル・ネゴシエーターの頭の中―― 「決まる! 」7つの交渉術』がある。

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