「共産党100周年」中国の若者達が語る党への本音 20代が考える入党のメリットとデメリット

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大学時代に王さんと同級生だった趙心さん(仮名、26歳)は、「王さんはSaaSを手掛ける北京のIT企業で働いている。グローバルな実力主義の会社だと、党員の恩恵は感じにくいけど、公務員や教師にとっては、共産党はやっぱり箔ですよ」と強調した。

昨年重点大学の大学院を修了した趙さんは、地元に帰って中学校教師になった。今は結党100周年に伴う学内活動の運営や広報を担当している。

趙さんは共産党員ではない。高校や大学で、共産党員になりたい人はとても多かったが、推薦されるのはクラスで数人。エンターテインメント企業に就職して、30歳で喫茶店を開く夢を描いていた趙さんは「党員を目指すと品行方正が求められるし、競争も激しいし、学生時代はあまり興味がなかった」という。

気持ちが変わったのはこの1~2年だ。

著名企業に入りかった趙さんは、「自分の大学はそれほど有名ではなく、競争に勝てない」と考え、海外に1年留学し、さらに中国の大学院に進学した。そのため就職活動が大学の同級生より2~3年遅れ、先に働き始めた友人からリアルな現実をたくさん聞くことになった。

「友達のほとんどはすでに1回転職して、北京や深圳で働いている。王さんは学生時代とても優秀で、今は給料の高いIT企業に勤めている。私が学生時代に憧れてた生活を送っているのに、『もっと頑張らないと淘汰される』と危機感が強くて、幸せそうじゃない」

年内に共産党に入党予定

趙さんは就職をすっ飛ばしてコーヒーショップを開こうと考え、カフェオーナーのコミュニティーに入ってもみたが、オーナーの大半も生存競争にさらされていた。

半年ほどの就職活動を経て、趙さんは地元に戻って教師になることを決めた。海外留学、大学院修了の経歴は、小さな街の学校で歓迎された。

年内には共産党入党の申請もするつもりだ。

「学生の頃は、党員になるのは競争が激しいと思っていたけど、民間企業で働いたり、起業するほうが競争は熾烈だった。安定路線を選んだからには、党員になっておくべきと思う」

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