優秀なはずの上司の下で部下が育たない根本理由 部下に「責任感を持たせる」と生じる3つの変化

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また、次のような言葉もよく耳にするのではないか。

❖「命令されたからです」
❖「そう書いてあるので」
❖「考えることは私の仕事ではありません」

選択の自由が責任感を生む

愛着や思い入れの測定値が低い人には、使命感が欠けている。そういう人は、やっていることの体裁を整えることしかしない。ただ口先だけで、会社の方針やプロジェクトに賛同しているにすぎないからだ。

責任感を持つことは、単なる決断とは違う。「あちらよりこちらがいい」と決断しても、そこから行動を起こさずにそのまま終わってしまうことはある。だが責任感が生まれると、行動が伴う。つまり、責任感は青ワーク(思考)を赤ワーク(実行)に変えるのだ。

ビジネスは、ものごとを成し遂げないことには始まらない。私のもとには、独自の企業文化を生み出したいという人から頻繁に連絡がくる。行動を起こすことに積極的であると同時に、しっかりと考えたうえでリスクが伴う行動に自発的に取り組む文化を育みたい、と彼らは言う。

ここでカギとなるのが選択の有無だ。選択の自由がなければ、責任感は生まれない。「イエス」と答えるしかない状況に置かれたら、人は服従するしかない。

「やる気を刺激する」とか「権限を移譲する」といったスローガンを掲げている職場は多い。しかし、そうやって社員に行動や責任を促し、会社の目標を達成させたいと雇い主がいくら期待をかけても、彼らに選択の余地を持たせていなければ、社内に生まれるのは服従の文化が関の山だ。

決断する人と実行する人を分けていた産業革命期では、服従が生まれるのは自然な成り行きだったが、いまの時代に求められているのは、「責任感を持った取り組み」だ。

ひとりで繰り返し体を使って行う単純な作業には、服従が効果的かもしれない。だが、認知能力が必要となる作業をチームで行う場合、服従は機能しない。服従では、要求される最低限のことしか行おうとしないからだ。

一方、責任感を持って取り組むと、自発的な努力が生まれる。「責任感を持って取り組む」ようになると、どんな変化が生まれるのか。それには、次の3つがある。

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