優秀なはずの上司の下で部下が育たない根本理由 部下に「責任感を持たせる」と生じる3つの変化
会社で業務上のミスがあると、「言われたとおりにやっただけです」という返答がよく聞かれる。これはつまり、自分に責任はないと言っているのも同然だ。ほかの誰かが決めたことに、ただ従ったにすぎないのだから。
相手を「服従」させるのに、多くの言葉は要らない。
部下「なぜですか?」
上司「やってほしいから」
部下「わかりました」
このようなやりとりですんでしまう。これなら、上司の立場にある人は、現状説明という厄介で時間のかかる仕事から解放される。しかし、詳しい説明がなければ、 脆弱な状態を生んでしまう。
服従の姿勢が表れている言葉
私はそれを、原子力潜水艦〈サンタフェ〉の艦長に就いて早々に実感した。あるとき、私は深夜の当直班に、翌朝に潜水艦がいるべき位置を伝えた。なぜそこにいる必要があるのか、また翌朝その位置にいなかったらどうなるかも説明しなかった。つまり、服従を求めたのだ。
私が翌朝起きて艦の位置を確認すると、指示した位置にいないとわかり、呆然とした。なぜこんなことになったのか? さまざまなことが重なったのだ。まずは、漁船に進路を邪魔された。その次は商船が進路に現れた。このように、次から次へと事件が起きたのだ。
当直士官は私の指示に従うべく最善を尽くしたが、指示が持つ意味を知らなかったので、彼自身の責任で任務を行うという意識は生まれなかった。
服従は、手順に従うことがすべてとなる。そういう姿勢が表れている言葉を例にあげよう。
❖「あの人の言葉を信じるよ。20マイル先に100ノットの嵐がいるってだけだ。まあ、『だけ』って話ではないとは思うけど」(〈エルファロ〉の三等航海士が一般船員に言った言葉)
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