「ハリポタ」で大勝負、再上場にらむUSJ 新エリア開設で客数激増、新パーク立ち上げ構想も浮上

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 テーマパーク業界では1拠点当たりの収容数に限界があることから、新事業なしでは成長余地も小さいとかねて指摘されてきた。USJの場合、従業員用の駐車場など余剰スペースはあるが、中長期の成長を描くうえでは、新たな場所での事業展開は不可欠だ。

すでにガンペル社長は、カジノを含めた統合型リゾートへの参画に積極的な姿勢を見せているほか、沖縄をはじめ国内外で新たなパーク開園の検討を始めている。

再上場には慎重な姿勢

ただし、USJは上場については「資金調達の手段として検討しているが、ファンドからの出資など、ほかにも方法はある」(広報室)と、慎重な姿勢を見せる。

これは短期間で上場を廃止したことも関係していよう。USJ株は07年の上場まもなく8万円まで上昇したが、客数減とリーマンショックで、08年には3万円台に急落。「株価低迷で筋の悪い株主が入る前に上場廃止を決めた」(関係者)が、この経験はトラウマとして残っている。

未上場のメリットもある。今回、ハリポタの投資の大半を自己資金で賄ったが、上場企業であれば、客数が停滞する中で巨額投資を行うのは難しかっただろう。

一方、株式市場からも「USJは上場した途端、業績が悪くなった。今回も慎重に見ないといけない」(日系アナリスト)との声が上がる。実際、前回は上場で得た資金の一部をアトラクションの新設投資に充てるとしたが、08年に始まったミュージカルショーは1年足らずで休止。09年にスタートした夜パレードも客数増にはつながらず、投資家の不信感を招いた。

さらなる事業拡大へ向け新たな扉を開けるのか。命運はハリポタが握っている。

「週刊東洋経済」2014年8月2日号<7月26日発売>掲載の「核心リポート01」を転載)

鈴木 良英 東洋経済 記者

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すずき よしひで / Yoshihide Suzuki

『週刊東洋経済』編集部記者

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