「ハリポタ」で大勝負、再上場にらむUSJ 新エリア開設で客数激増、新パーク立ち上げ構想も浮上

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ようやく復調の兆しが見えたのは11年。前年にP&G出身の森岡毅執行役員をマーケティング担当に迎え入れ、ショーやアトラクションのテコ入れに乗り出してからだ。

同氏の下、11年には開業10周年イベントを矢継ぎ早に開催。別途チケットが必要だったハロウィーンなど定番イベントも入場者全員に開放し、大型イベントに転換させた。

手薄だったファミリー層開拓

ファミリー層開拓に向け、大人1人につき子供1人が無料になるチケットの販売も始めた。12年には、子連れ客向けの「ワンダーランド」をオープン。ハリウッド映画のテーマパークとしての認知度が高すぎて客層が限られていたが、これを機にファミリー客が膨らんでいった。

13年には後ろ向きに走るジェットコースターのヒットで、客数が1050万人と開業時の水準にまで回復。同年度の売上高は前期比17%増、営業益も同5割増の242億円と過去最高を更新した。

今回、ハリポタで狙うのは若年女性やファミリー客の拡大だけではない。同エリアがあるのは米国以外ではUSJだけとあって、アジアを中心とした海外客の取り込みも視野に入れている。仮に計画どおり200万人を取り込めれば、14年の来客数は開業来最高を更新することになる。

こうした中、浮上するのが再上場の可能性だ。USJは07年に上場したものの、わずか2年で上場を廃止している。そこから再び上場話が持ち上がったのは、今後一段の成長を目指すにはさらなる投資が必要だからだ。実際、USJも「経営安定性を高めるために、1カ所への収益依存から脱出したい」と、新事業立ち上げを検討している。

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