東映アニメが携わる「日・サウジ合作映画」の狙い 「ジャーニー」で人材育成、エンタメ発展目指す
11人の若者たちはおよそ2カ月にわたって、インターンシップとしてアニメーション作りのイロハを学ぶこととなった。講師となったのは、東映アニメーションが誇る各部署のプロフェッショナルたち。日本にやってきた11人の若者たちは、選抜されたメンバーだったということもあり、非常に絵がうまかったという。
同時に、少しでも多くのことを学ぼうとする意欲、情熱にあふれていた。その熱量の高さが、教える日本側のスタッフの刺激にもなった。日本のスタッフと、サウジアラビアのインターン生たちはすっかり意気投合し、インターンシップ期間中には、みんなでジブリ美術館に行ったり、カラオケに行って、日本語でアニメソングを歌ったりといった交流も行われた。『ジャーニー』の制作にあたっては、彼らの力が作品作りに大きく寄与している。
清水顧問は今回の提携について「サウジアラビア初の長編アニメーション映画の製作に貢献できることを光栄に思う。私たち日本人にとって、習慣や文化が全く違う古代のアラビア半島の歴史を題材にするすることは、大きな挑戦だった。サウジチームの監修と協力を得て、この映画の準備に必要な資料やアイデアを集めることができた」と振り返る。
中東全域での公開を予定
一方のイサム氏は「日本とサウジアラビアの才能と経験豊かなプロフェッショナルたちによる、アラブに焦点を当てた高い水準の作品を上映できることを誇りに思う。『ジャーニー』は、中東全域および世界中で公開される予定で、弊社のサウジアラビアの文化とアラビア半島の歴史的な物語を世界中に届けるというビジョンを体現するものになる」と手応えを感じている。さらに、早くも東映アニメーションとの合作となる次回作の準備に取りかかっているという。
サウジアラビアでは宗教的な観点から、長きにわたって映画館の運営が禁止されていたが、皇太子が推進する社会改革の一環として、2018年4月におよそ35年ぶりとなる映画館の営業が復活した。それから映画市場は成長産業となり、ここ数年で多くの映画館がオープンしている。そんな背景もあり、現時点で1割程度と言われているサウジアラビアの映画市場における国産コンテンツの割合を増やすことが求められている。
本作はサウジアラビアの映画としては初となるグッズを作成、ヴァージン・メガストアで販売されている。またイサム氏は、将来的にはマンガプロダクションズが手がける作品のIPをもとに、それをテーマパークにまで発展させて、観光などのビジネスも創出したいと意気込んでいる。今後のサウジアラビアのエンタメ市場の動向にも注目したい。
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