東アジア「ここへ来てコロナ感染急増」に映る難題 国境突破された各国に対し日本は何ができるか

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日本は入国者全員を強制的に14日間隔離(停留)させるだけの宿泊施設や検疫のキャパシティがなく、強制力を伴う行動制限措置もできなかった。それでも昨年前半、保健所による積極的疫学調査とクラスター対策によって感染拡大の端緒をつかみ、「3密」回避という効果的なリスクコミュニケーションで一定の効果を上げた。しかし、国内需要喚起を目的としたGoToキャンペーンにより感染拡大を許し、コロナ患者を受け入れるのに十分な医療提供体制も整備できなかった。

中低所得国では社会経済活動を止めてロックダウンを継続することに国民の支持を得られなくなってきている。日本が学んできた教訓は東アジアの国・地域に役に立つはずだし、日本も逆に学ぶことはあるだろう。ただし、もはや国境管理や行動制限だけでコロナが収束しないことも明らかである。

遅れたワクチン確保、進まない接種

いま東アジアが直面する共通の課題は、ワクチン接種の遅れである。人口のうち1回でもワクチンを接種した人の割合を見ると、シンガポール(51%)、韓国(30%)、日本(20%)を除けば、東アジア諸国の多くが10%に届いていない(6月25日時点)。

東アジア諸国は感染を抑制してきたがために、被害が甚大な欧米に比べワクチン供給で後回しにされた。日本は昨年7月末にファイザー・ビオンテック社と供給の基本合意に達していたものの、国際共同治験に入れず、承認も遅れた。さらに欧州で生産されたワクチンの輸出規制にも阻まれた。

それでも、ファイザーやEUと交渉できた日本は、ワクチン争奪戦に善戦したほうである。東アジアには、いまだに十分なワクチンが届いていない。COVAX経由でアストラゼネカ社ワクチンを中心に供与が進むが、各国あたり数十万回分から数百万回分で、全く足りない。

東アジアで唯一、猛烈な勢いでワクチン接種を進めるのが中国である。1日の接種回数は2000万回を超えた。発症予防効果で見るとファイザー社mRNAワクチンが95%なのに対し、中国産の不活化ワクチンはシノファーム製ワクチンが79%、シノバック製ワクチンが51%と、有効性で劣る。それでも接種回数で見るとインドが1日300万回、アメリカや日本が1日100万回程度なので接種スピードの差は歴然としている。6月20日、中国は接種回数が10億回を超えたと発表した。

コロナ対応では感染の波と、その対策によるハンマー・アンド・ダンスが続くと言われてきた。中国はデジタル化された行動管理に加えて、圧倒的な検査キャパシティとワクチン接種という、世界が真似できない巨大なハンマーで、徹底的にコロナを叩く。

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