アフリカを侮る日本人が知らない超激変のリアル 貧しいだけの地域だと思っていたら大間違い

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ケニアでは、SIMベースでケータイ普及率は113%(2019年)。日本と同様に、ケニアにもガラケーとスマホの両持ちや、複数キャリアを使っている人が大勢いる。「通話はA社、データはB社」というように、安いほうで使い分けているからだ。

しかもプリペイドだから基本料金がなく、使う分だけチャージしておけばいい。そして、そんなプリペイドケータイのおかげで、モバイルマネーサービス(チャージした通話料を人に送れる/決済できるサービス)がブレイクした。

これが、大きなイノベーションを引き起こしました。まさに今やケータイは、「送金・決済」を担う生活必需品になっている。だから、マサイ族も持っているのです。(56ページより)

アフリカと東南アジアはほぼ互角

中国・インド・東南アジアの成長が注目されている近年は、「アジアの時代が訪れた」というような論調を目にする機会も多い。しかしその一方、アフリカ諸国については(少なくとも日本では)「内戦」「難民」「飢餓」「スラム」というような旧来的なイメージがいまだ強い。

もちろん、農村を中心に貧しい人が多いのは事実だろう。だが都市化は確実に進み、着実な経済発展を遂げている国はアフリカに少なくないようだ。

実際、アフリカの主要国の一人当たり実質GDPと人口規模、GDP規模を比較してみると、東南アジア諸国と、ほぼ同規模の国々が並んでいることがわかります。
南アフリカで、タイと同じレベル。エジプトは、フィリピンと同じレベル。ケニアやエチオピアは、ミャンマーと同じレベルで、スーダンやアンゴラ、モロッコなどは、フィリピンに近い一人当たりGDP規模になっています。(58ページより)

そればかりか、産業構造の変化も始まってきている。ケニアやエチオピアはまだ第1次産業の従事者が54%、60%だが、南アフリカでは5%程度。その一方、第3次産業は72%もあるのだという。これは、日本よりも高い数字だ。

ナイジェリアも発展が急激に進んで、第3次産業が労働者ベースで53%まで来ています。エジプトも、49%です。エジプトは製造業比率が高いのも特徴です。(58ページより)

本書を読む限りアフリカの人々は、「インフラが整っていないなら、いまある環境の中で最良の結果を得よう。そしてそこから、さらに前へ進もう」と考え、工夫するような柔軟性を持っているように思える。

中盤以降では急成長期にあるアフリカの先端技術の現状、巨大市場としての可能性の大きさなどが克明に解説されていくが、つい引き込まれてしまうのは、アフリカの“リアル”がこちらの想像をはるかに超えたものであるからにほかならない。

印南 敦史 作家、書評家

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いんなみ あつし / Atsushi Innami

1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。「ライフハッカー・ジャパン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.jp」「文春オンライン」などで連載を持つほか、「Pen」など紙媒体にも寄稿。『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(PHP文庫)、『いま自分に必要なビジネススキルが1テーマ3冊で身につく本』(日本実業出版社)『「書くのが苦手」な人のための文章術』(PHP研究所)、『先延ばしをなくす朝の習慣』(秀和システム)など著作多数。最新刊は『抗う練習』(フォレスト出版)。

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