ひろゆき感動「難病61歳の人生サイボーグ化計画」 ALSになったら僕も「ネオヒューマン」をマネる

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本書の最終章に書かれているVRの世界は、実装が難しく、まだ夢物語ですが、ほかの部分は、エンジニアとしてはみんなが思いつく話で、技術に関しても既知のものばかりです。音声合成で自分の声を作るというのは、日本ではすでに10年前から「初音ミク」が流行っていて、当たり前のように使われていますからね。

そして、いろんな人と交渉してプロジェクトを進めるという面でも、トラブルも起きたりして、経営者としてあまりうまくないなという感じもします。

ですから、『ネオ・ヒューマン』は、ピーターさんの能力値が異常に高いから成し遂げられた、ということでもないと僕は思います。

「戻れるように動く人って、速度出ないんですよね」

彼の凄いところは、とにかく技術の力で現実を覆してやるんだっていう「前向きな覚悟」とフランシスとの愛、ですよね。

ピーターさんが、気管と食道を完全に分離して死のリスクを減らすために、声を失う判断をした部分は、すごい覚悟だなと思いました。多くのALS患者が、どう人生を終えていくかという縮小の方向で考えるなか、「俺は技術で生きていくんだ」という前向きさは、かなり特殊です。

もう戻れなくなるけどやる、という「覚悟」を決められたことが、大きいかなと思います。喉を切り取ってしまったら、もう元には戻れません。

例えば、両側が断崖絶壁の道を、いつでも戻れるように進む人は、そろそろ歩くことになり、自分の歩幅以上には進めませんし、速度も出ません。でも、「もう戻れなくていい!」と覚悟を決めてジャンプしていく人は、歩幅以上に速く進めますよね。

もちろん、リスクを負わずに、のんべんだらりと過ごすのもアリです。ただ、「この段階では、リスクを背負って先に進み、他の人がついて来られない状態にしてしまえば、あとは超ラクだよね」ということがあるわけです。

たとえばユーチューバーのヒカキンさんは、YouTubeがまだまったく利益を上げられていない最初の段階で、「これから毎日動画をアップしようと思う」と言っています。

そして、本当に、最近まで毎日毎日動画をアップし続けていました。トップランナーになってもそれをやり続けていると、もう、新規参入の人は追いつけません。それで圧倒的な存在になり、「ユーチューバーと言えば、ヒカキンさんだよね」というポジションを作ることができたわけです。

普通に働いていれば、そんなことはできません。旅行にも行けないし、1日中、次の動画や編集のことばかり考え続けていて、かなり人生を損していると思いますからね。だから、ヒカキンさんが、自分の人生をYouTubeに突っ込むという覚悟を決めたことは、大きかったと思います。

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