ワークマン、成長に欠かせない「新業態」の使命 「プラス」出店からわずか2年で女子業態を開始
コロナ禍でもワークマンの快進撃は止まらない。今2022年3月期は11期連続で過去最高益(純利益ベース)を見込む。実際、足下の業績も好調で、4月、5月の既存店売上高は24.5%増、10.4%増と2桁増が続く。
既存店好調の要因は、客数が増えていることにある。よく知られているとおり、これまでワークマンの利用客はプロの作業員が中心だったが、アウトドアブームの追い風もあり、この2~3年で急速に一般客へと広がった。
新業態で最も変わったのは「見せ方」
その受け皿となったのが新業態だ。同社の新業態は2018年の「ワークマンプラス」から始まる。同社は一般客向けのPBを3つに再分類してブランド化、ワークマンプラスではPBを前面展開して一般客への訴求を図った。
ただし、PBは従来のワークマンの店でも扱っている。新業態で最も変わったのは、店の雰囲気や商品のディスプレー、つまり「見せ方」だった。
例えば陳列方法。商品を横ではなく正面から見せる置き方や、商品の色を合わせた統一感のある陳列、そして足元には靴、棚には帽子などの小物を効果的に配置するといった見せ方に変わった。
売り場構成も変えた。以前のワークマンでは綿100%、綿・ポリエステル混合、ポリエステル100%といった具合に商品を素材ごとに分けて売り場を作っていたが、路面店のワークマンプラスでは、おおよそ店内の右側を作業服、左側をアウトドアに分けて客が見やすい構成にした。
見せ方の進化は、ワークマン女子でも見られる。従来のワークマンは、背の高い商品棚を店一面に並べて商品種類の豊富さをアピールしていたが、女子業態では入り口付近の什器の高さを下げて女性でも見やすくした。また店内をレディース、アウトドア、メンズ・タウン、スポーツと4つのエリアに分け、アイテム別ではなく、用途別の売り場構成としている。
実はワークマン女子の出店は、ワークマンプラスの初出店からわずか2年しか経っていない。こうして新業態を次々と開発するのは、混雑する既存店から客を分散させる狙いもある。南柏店も近隣の店の売り上げが好調なエリアで、既存店から一般客を「吸い上げる」ことを狙っている。
というのも、既存店ではこれまで中心だったプロ客から不満の声が上がり始めているからだ。首都圏にある「ワークマンプラス」。以前から作業服を買っているという男性客は「店の雰囲気が変わった。特に土日は一般客が多く、少し入りづらい」と話す。
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