だが、「助成金」が弾切れになったのか、はたまたコロナ禍の収束で需要が急増したためか、利用者は今、贅沢な行動には実際に「贅沢な請求書」がついて回ることに初めて気づかされつつある。
「今日、(マンハッタンの)ミッドタウンからジョン・F・ケネディ空港までウーバーを使ったら、ニューヨーク発サンフランシスコ行きのフライトと同じくらいの料金がかかった」
自動車会社のフォードでベンチャー企業育成担当バイスプレジデントをしているサニー・マドラは最近、ツイッターでこうつぶやいた。ツイートには、空港まで乗車したウーバーに250ドル近く支払ったことを示す領収書のスクリーンショットも添えられていた。
「エアビーアンドビーはやり過ぎ」。ツイッターでは民泊仲介企業にかみつく人も見かける。「300ドル出せば、プール、ルームサービス、無料の朝食、掃除付きのホテルに泊まれるのに、アパートに2泊するのに500ドル出す人間なんているのかよ。現実を見ろ(笑)」
ウーバーの料金は1年前に比べて4割上昇
こうした新興企業の中には近年、財布のひもを引き締めるところも出るようになっていた。が、値引き原資はコロナ禍でついに底をついたと見える。
調査会社の楽天インテリジェンスによると、ウーバーとリフトの利用料金は1年前に比べ平均で40%値上がりした。ドアダッシュやグラブハブなどの料理宅配サービスも昨年から手数料を着実に引き上げてきている。エアビーアンドビーの財務報告書によると、1泊当たりの平均宿泊料金は2021年第1四半期に前年同期比で35%上昇した。
背景には需要の急増がある。かつては顧客獲得競争に明け暮れていたこれらの企業も、今では増えすぎた客をさばききれなくなっているのだ。ウーバーとリフトは運転手不足に悩まされており、エアビーで上昇する宿泊料金には増加する需要に登録物件数が追いつかない状況が映し出されている。
白状しよう。この「助成金」経済には、私も喜々として便乗してきた(同僚のカーラ・スウィッシャーが「ミレニアル世代のための生活援助」という言葉を使っていたのが忘れられない)。