「ウーバー」や「エアビー」が高くなり始めた事情

スタートアップの大出血ビジネスが迎えた終焉

お値打ち価格に助けられてきた都会のミレニアル世代にしてみれば、「助成金」の喪失は残念でならない。だが、投資家が投資先企業の黒字化を望むのは当然だ。さらにもっと広い観点で考えるなら、都会の金持ちに割引サービスを提供するよりも、もっと効果的な資本の使い方を見つけたほうがいいに決まっている。

2018年に私は、経済全体がムービーパスのような様相を呈してきたと書いたことがある。「月額9.95ドルで映画見放題」というムービーパスのサービスは、恐ろしく魅力的だったが、とんでなくもうからない料金設定で、破綻するのは目に見えていた。

思うに、ムービーパスのような会社は、次のようなビジネスモデルで重力の法則にあらがおうとしたのだろう。規模の経済を達成できれば、ある段階でスイッチが入り、利益が上がるようになるというビジネスモデルだ(アマゾンが生み出したともいえる哲学で、テクノロジー業界では「ブリッツスケーリング」と呼ばれている)。

「高額化」は憂慮すべき事態ではない

市場はなお常軌を逸した行動で満ちており、一部のスタートアップ企業は今も成長を求めて巨額の資金を燃やし続けている。だが、こうした企業も成熟が進み、財務的な規律のメリットに気づき始めたように見える。

利益が出れば投資家に恩恵があるのは言うまでもない。さらに、私たちの贅沢に「助成金」が出なくなるのはつらいことではあるが、そこには一定の正義もある。例えば、どこかで誰かが誰かを搾取していないのだとすれば、ラッシュアワーの時間帯に運転手を雇ってロサンゼルス市内を移動するのに、わずか16ドルの支払いで足りるはずがない。

一部の高級サービスが単なる小金持ちには簡単に手の届かない価格になってきていることは憂慮すべき事態のように見えて、実は進歩の兆しなのかもしれない。

=敬称略=

(執筆:テクノロジーコラムニスト Kevin Roose)

(C)The New York Times News Services

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