村西と同じ釜の飯を食う三田村(柄本時生)、順子(伊藤沙莉)、ラグビー(後藤剛範)の3人が友情、恋愛といった見せ場を作るサイドストーリーも加わります。そして、伝説のアダルトビデオ「SMぽいの好き」を生み出した黒木香(森田望智)は再び村西との作品制作を切望するも、それが果たされない心の変化を映し出します。
さらに、シーズン2から登場する乃木真梨子(恒松祐里)という名の新たなヒロインは村西の意外な一面を見せるカギに。ほか、吉田栄作、伊原剛志、宮沢りえ、石橋蓮司、室井滋といったベテランから、渡辺大知、MEGUMI、西内まりやら日本のエンタメ界で活躍する役者たちが演じる役柄はどれも個性的。多様な人々との関わり合いの中で村西の人生は作られていることを表現しているかのようです。
「空からエロを降らせる」という夢
シーズン2において、ストーリー展開の核となるのは村西が衛星放送事業に乗り出す話です。「空からエロを降らせる」という夢に向けて、新会社・ダイヤモンド映像を立ち上げ、さらなる高みを目指します。口八丁手八丁で攻めていく姿はシーズン1同様に健在ですが、「何かが違う」と視聴者に思わせるような雲行き怪しいエピソードも織り込まれていき、それが最終的に、村西が詰んだ瞬間の絶望感を生々しくさせています。
この意図について総監督を続投した武正晴監督に直接尋ねると、このような答えが返ってきました。
「日本全体がダメになったことを村西とおる1人に背負わせて、時に物笑いのネタのようにも扱われますが、実は誰もが笑えない話。程度は違えど、誰もがどこかで経験しているはずです」
つまり、自分ごととして村西を感じることができるからこそ、絶望の生々しさが伝わってくるというのです。これは没頭できる作品に共通する点でもあります。
「“全裸監督”は決して特別な人間ではないんです。野心を持つ人ほど、頑張っても堕ちていく場合があります。あなたにも身に覚えない? あなたの両親はそうじゃなかった? 家族や隣に住んでいる人もそうじゃない? そう問いかけることができる人間ドラマを作っています」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら