菅首相、ワクチンと五輪頼みの「9月解散戦略」

衆院選勝敗ラインは安定多数、過半数は退陣も

6月15日、衆院本会議で立憲民主党の枝野幸男代表(手前)による内閣不信任決議案の趣旨弁明を聞く菅義偉首相(中央)(写真:時事)

通常国会が6月16日、会期を延長せずに閉幕し、与野党は秋の衆院解散・総選挙に向けて準備を加速させる。

7月23日からの東京五輪・パラリンピック大会開催に突き進む菅義偉首相は、9月5日の同大会閉幕後の「9月解散―10月投開票」のスケジュールで自民党総裁再選による長期政権を狙う構えだ。

ただ、五輪開催がコロナ「第5波」につながる可能性は否定できない。自民党内からも「ワクチン頼みの首相の解散戦略は不安だらけ」(閣僚経験者)、「安心・安全な五輪開催に失敗すれば、解散どころではなくなる」(若手)との厳しい声も広がる。

解散見送りをあっさりと決断

国会の会期末攻防は、立憲民主など4野党が会期末前日の15日に内閣不信任決議案を提出したが、自民、公明と日本維新の会などの反対多数で否決された。自民党の二階俊博幹事長は「不信任なら解散」と牽制してきたが、菅首相はあっさりと解散見送りを決めた。

これを受けて政府は17日のコロナ対策本部で東京や大阪など10都道府県に発令中の緊急事態宣言について、沖縄を除いて期限の20日で解除することを決定。東京など7都道府県を7月11日を期限とするまん延防止等重点措置に移行させた。

今回の一連の決定は「すべてが、東京五輪開催に向けた環境づくり」(自民幹部)とみられている。政府は21日にも東京都や東京五輪組織委員会、国際オリンピック委員会(IOC)などによる5者協議で、観客を入れた五輪開催を最終決定する構え。観客の上限は最大1万人が有力視されている。

五輪開催問題が決着すれば、その後の政局は自民党総裁選が絡む次期衆院選の実施時期と、その結果が最大の焦点となる。首相サイドからは「五輪を成功させてパラリンピック閉幕直後の9月上旬に解散すれば、10月上旬投開票の衆院選の勝利で、総裁選も首相の無投票再選となる」(官邸筋)と威勢のいい掛け声も出る。 

次ページ東京では早くも感染者のリバウンド
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
  • 貧困に喘ぐ女性の現実
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • コロナ後を生き抜く
  • 最新の週刊東洋経済
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本初、「工場を持たない」EVメーカー誕生の衝撃
日本初、「工場を持たない」EVメーカー誕生の衝撃
面接や説明会で採用者が嫌う「9つのNG質問」
面接や説明会で採用者が嫌う「9つのNG質問」
海外マネー流入!外国人に買われた日本企業20社
海外マネー流入!外国人に買われた日本企業20社
男性も入れる?新業態『ワークマン女子』の中身
男性も入れる?新業態『ワークマン女子』の中身
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
生前贈与がダメになる<br>相続の新常識

相続をめぐる環境が激変しています。年110万円まで非課税だった生前贈与が税制改正により認められなくなる可能性も。本特集では相続の基本から、よくあるトラブルと解消法、最新路線価に基づく相続税額、さらに生前贈与の将来動向まで取り上げました。

東洋経済education×ICT