菅首相、ワクチンと五輪頼みの「9月解散戦略」 衆院選勝敗ラインは安定多数、過半数は退陣も

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しかし、東京五輪開催が「菅政権の追い風になる保証はない」(自民長老)。まん延防止に移行する東京では、すでに若年世代を中心とした感染者数のリバウンドが目立つ。

感染症専門家は「緊急事態宣言解除が東京での人流拡大につながり、五輪開催中に宣言発令を余儀なくされる可能性が大きい」(分科会メンバー)と危機感を募らす。海外有力メディアが警鐘を鳴らす「東京五輪は一大感染イベント」が現実となれば、開催を強行した菅首相の責任を問う声が噴出するのは避けられない。

五輪失敗なら解散戦略見直しへ

五輪開催の失敗が明確になって国民的批判が爆発すれば、菅首相の解散戦略も見直しを迫られる。「衆院選に突っ込めば、自民党が負ける」との不安から、自民党内で五輪後解散への反対論が広がるのは確実だからだ。

その場合、「解散先行で総裁選凍結」(官邸筋)という再選シナリオが、「衆院選前の総裁選実施によるポスト菅レース」(自民長老)に一変する可能性も低くない。

菅首相サイドは「ワクチン接種が進めば五輪開催のリスクも最低限にとどまり、内閣支持率も回復する」(側近)と期待をかける。菅首相が打ち出した7月中の高齢者接種完了に現実味が増し、「11月までの全希望者の接種完了」の可能性も広がっている。

しかし、ワクチン接種先進国のイギリスも、変異株による感染再拡大で21日が期限だったロックダウン(都市封鎖)の4週間延長を余儀なくされた。永田町では「菅首相の根拠なき楽観主義が破綻して、再選どころではなくなる」(若手)との厳しい声も出始めている。

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