中学受験「中堅校の特別コース」注意が必要な理由 志望校の「ケース別」に最適な勉強法を紹介
一方、中堅校の場合は、標準的な難易度の典型問題が多くなります。合格最低点は難関校と同程度なので、教科書的な知識に加えて受験に頻出する解法パターンをひととおりマスターすれば合格点に届くことが多いです。無理に応用問題に手を出すより、5年生までのテキストを徹底的に復習すべきといわれるゆえんです。
ただし、昨今は単純な暗記が通用しない「思考力重視」の傾向が中堅校にも広がってきているようです。自分で図を描いて問われている内容を整理するなど、きちんと理解したうえでの暗記が求められていると言えるでしょう。
中堅校の「特別コース」には相性がある
最近は、中堅校が「特待生入試」や「医学部コース」などの入試を行うことも多くなっています。これらの入試は、偏差値的には難関校に近いこともありますが、傾向的には難関型とは限らないので注意が必要です。ほかのコースと同一の問題で合格点だけが高いなど、難関校とはまったく違う傾向の問題ということもあるからです。
また入学後の環境も、周囲にライバルが少ない、成績維持の強いプレッシャーにさらされるなど難関校とは異なる点があり、自分のペースを貫ける子でないと、同じような偏差値の難関校のように学力を伸ばすのは難しいかもしれません。相性を見極めることが重要なのはどんな学校を選ぶ場合でも同じですが、特待生や特別コースの場合は特に留意する必要があると思います。
東京などでは国立の附属校が私立のような難問を出すケースもありますが、そういった例外をのぞけば、基本問題中心の入試がほとんどです。教科書から逸脱した受験特有の知識はあまり要求されません。ただし、たいてい記述問題が多いので、自力で基本事項をしっかり説明できるような学習は必要でしょう。
また、音楽や家庭科の試験があったり、面接が重視されたりというように、特殊な出題もよく見られます。過去問や合格点を公開していない学校もありますが、問題が易しい場合に、合格するには8割以上の高得点が必要だろうと推測されています。
情報を集めた大手塾が多くの合格者を出す地域がふつうなのですが、ほぼ塾なしでの対策も私立ほどは難しくないと思います。志望校に特化した講習やテストさえ受けていれば、不利な点は少ないからです。
なお、私立でも法政や同志社の附属校は偏差値の割に問題が易しく、合格点が高くなっているので、どちらかというと、国立附属に近い傾向であると考えられます。
最近は私立でも適性検査型の入試を行うところが出てきたことが話題になりましたが、実は国立でもお茶の水女子附属中など適性検査型に大きくシフトするところが出てきています。
公立中高一貫校対応の模試も受けておくなど、ある程度は意識しておいたほうがいいでしょう。