ライザップ、経営スリム化でも険しい再建への道 瀬戸社長「結果にコミット」に向けて試練は続く

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2022年3月期は営業利益70億円、最終利益30億円を見込む。売上高は多くの店舗で臨時休業を余儀なくされた前期とほぼ同水準の1700億円で計画した。「今は夢を語るより、収益をあげる体制をしっかりと作る。コロナ禍を乗り越えたときを見据えて、企業としていかに強靭な肉体になっているかが重要」。瀬戸社長はそう気を引き締める。

ライザップの瀬戸健社長は「今は収益をあげる体制をしっかりと作る」と気を引き締める。写真は2019年6月撮影(撮影:尾形文繁)

ただ、強靭な肉体の骨格に相当する人材面は不安のある状態だ。

瀬戸社長は、「中堅以上の社員を多く中途採用していたことで『船頭』だけが増え、意思決定が遅くなっていた」と近年の社内状況を話す。人材の断捨離もやむなしというスタンスだが、経営幹部層の退職による人材の希薄化を懸念する声は社内でも少なくない。

人材を補おうにも、「人材エージェント会社によるライザップの評価は芳しくなく、人の確保が難しい」とライザップ関係者は指摘する。

リストラ続きの子会社に募る不満

一方、ライザップは断捨離が一段落した後も子会社にさらなる人員削減を要求し続けており、子会社の間に不満がたまっている。

実店舗の多いアパレルや物販などが中心の子会社群は、ECシフトなどデジタル化対応に必要となる人材への入れ替えには同意している。しかし、「瀬戸社長の右腕であるライザップ役員は、『利益を改善するために人を切れ』と言ってくる」(子会社関係者)。親会社であるライザップの要望は目先の利益を優先したコスト削減策としか受け止められていない。

子会社の不満を買いつつも人員削減を進めるのは、ライザップと銀行の関係回復が道半ばであることが影響していそうだ。信頼回復が進んだとはいえ、最悪期を脱したにすぎないと表現するほうがライザップの実態に即しているだろう。

ライザップの決算短信などには、事業継続にリスクがあることを示す「継続企業の前提に関する重要事象等」の記載が残る。親会社のライザップだけでなく、子会社に対しても銀行の融資姿勢は厳しいままだ。

コロナ禍を背景とした断捨離で経営をスリム化し、利益を出しやすい体質に改善したライザップ。だが、企業として成長を期待できるような健康体を作り上げるまでには至っておらず、再建はむしろこれからが本番だ。

緒方 欽一 東洋経済 記者

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おがた きんいち / Kinichi Ogata

「東洋経済ニュース編集部」の編集者兼記者。消費者金融業界の業界紙、『週刊エコノミスト』編集部を経て現職。「危ない金融商品」や「危うい投資」といったテーマを継続的に取材。好物はお好み焼きと丸ぼうろとなし。

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