ライザップ、経営スリム化でも険しい再建への道 瀬戸社長「結果にコミット」に向けて試練は続く

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5月14日に発表したライザップの2021年3月期決算(国際会計基準)は、営業利益が12億円(前期は7億円の赤字)、最終利益が15億円の黒字(同60億円の赤字)となった。営業利益、最終利益ともに3期ぶりとなる黒字を達成したことも、信頼回復の一歩になると瀬戸社長は強調する。

2020年の1回目の緊急事態宣言時に、ボディメイクジムや子会社のアパレル店舗などを休業したことで、2021年3月期の売上高は前期比12%減となった。3回目の緊急事態宣言を受けて、店舗を中心とする減損損失も追加で計上した。そのような中で営業利益を黒字化できたのは、瀬戸社長が「断捨離」と称する販管費削減の効果が大きい。

固定費を削減し、現預金を積み上げ

リモートワークへの切り替えによる余剰オフィスの見直しや出張取りやめで、地代家賃や旅費交通費を削減。2021年3月期はグループ全体で固定費を112億円削減した。

コロナ禍を機に人員も減らした。ゲームソフトなどを販売するワンダーコーポレーション、アパレルのジーンズメイトや夢展望などの上場子会社で希望退職などを実施した。子会社売却の影響も含め、2020年3月末に6498人だった連結従業員数は、2021年3月末には5641人と約1割減少した。

断捨離によって手持ちのキャッシュも増えた。

コロナ影響に加えて銀行借り入れの返済を一気に求められた場合、2020年3月末で270億円あった現金および現金同等物が半減することも想定していたと瀬戸社長は語る。だが、実際には2021年3月末で337億円と逆にキャッシュを積み上げることができた。他方で有利子負債を約130億円減らした。

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