N高「過重労働」、教員組合と真っ向対立の泥沼実態 労基署の是正勧告には対応も、すれ違いは続く

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同じく会見に参加した、N高を今年3月末に退職した教員は、「休日にも通知音や着信音の幻聴が聞こえてきた。自分が『もう死ぬしかない』と思うほど悩むとは思わなかった」と、勤めていた当時を振り返る。

こうした教員らの主張に対し、学園は公式ホームページで反論している。担任生徒数が多いゆえに過重労働になっているという指摘に対しては、「(年間を通じた)通常の授業を行わなくてよいことにより、一人ひとりの生徒と向き合える時間については、むしろ確保できている」とした。

東洋経済の取材に対しても「ネットコースの教員の平均残業時間は21.5時間で、膨大だという指摘には当たらない。ICTを活用した業務の効率化を図り、進路指導・部活動・事務作業・生徒指導等を行う専門・支援チームを設けて担任教員の負荷を減らす分業も進めている」と回答した。

「第2回団交」のキャンセルをめぐっても対立

これ以外にも、学園側と労働組合側で認識が食い違う部分はある。その1つが、2021年5月30日に予定されていた第2回の団体交渉がキャンセルとなった理由についてだ。

学園側は「ウェブ会議の参加者を匿名かつ人数無制限に参加させることに(組合側が)固執されたため実現しなかった。教職員の個人情報や学園の機密情報を含む話も出さざるをえないため、誰が参加しているかは明らかにしてほしい」と説明。組合側に、具体的な条件をすり合わせたいと再三打診したにもかかわらず、返信がなかったという。

こうした学園側の声明に対し、組合側も反論。「身元を秘匿したい組合員もいる。1回目の団体交渉時には可能だったことなのに、2回目の直前になって態度を変えられた」とする。過重労働の実態が報道されたことを受け「(学園は)団体交渉の場に記者が紛れ込むことを心配しているのでは」(組合関係者)とみる向きもある。

学園と組合が真っ向から対立するN高の労働環境問題。両者にとって、そして生徒にとって最適な運営方法を見つけられるか。

井上 昌也 東洋経済 記者

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いのうえ まさや / Masaya Inoue

慶應義塾大学法学部政治学科卒業、同大メディア・コミュニケーション研究所修了。2019年東洋経済新報社に入社。現在はテレビ業界や動画配信、エンタメなどを担当。趣味は演劇鑑賞、スポーツ観戦。

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