野球を学問する 桑田真澄・平田竹男著
PL学園からジャイアンツのエースとして活躍した桑田が、大リーグから戻って早稲田の大学院に入ったところまではニュースになった。本書は入学までの思いといきさつ、大学院での1年間、そしてその成果を、指導教官との対談によって明らかにしたものだ。
若い頃から疑問を抱いてきたという「長時間練習、いじめ、体罰」の実態と受け止められ方を、プロと大学の選手にアンケートして統計処理し、展開したのがユニークだが、高卒で大学院へ入ったうえに、最優秀論文の評価まで受けた。野球でもそうだったが、理にかなったすさまじい努力とセンスは出色といってよい。
飛田穂洲の「野球道」を批判的に発展させた「練習の質の重視」「心の調和」「尊重」の三角形理論は多くのスポーツに活かせるだろう。対談は温かみと味わいがあって読みやすい。修士論文(残念ながら収録されていない)を指導者たちが読めば球界の発展に資するのではないか。(純)
新潮社 1365円
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