問題社員の取扱説明書 田北百樹子著

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問題社員の取扱説明書 田北百樹子著

昨今の、いわゆる個性重視教育を受けてきた世代の「問題社員」は手ごわい。

「問題社員」には「上司・先輩は敬うべきだ」という暗黙のルールは通用しない、という。「常識の範囲」「臨機応変」という期待も見事に裏切られる。だが「問題社員」は自分を守る能力には長けている。怒りに任せて叱責すると、痛い目に遭うのはまともな上司と社員たちだ。

本書の相談事例の一つを抜粋しよう。

「Y課長が部下のMさんに仕事を頼んでも断られる。自分の気に入らない仕事は断るか、ギリギリまで放っておいて、最後に『やっぱり出来ませんでした』と差し戻してくる。進捗状況を聞いても『多分大丈夫』という答えしか返ってこない。それ以上言おうとすると不機嫌になり、周りの空気までおかしくなる」。

これに対してMさんの言い分はこうだ。

「苦手な仕事をしていると、メンタルに影響がでる。メンタル面をやられて休むと、他の方に迷惑がかかるが、それでいいのか。自分が出来そうにない仕事を断って何が悪いのか。(Y課長は)自分の事を棚に上げて何を言っているのか。進捗状況を突然確認されてもすぐに答えられないので、とりあえず『大丈夫』と言っている。きちんと確認もせず、土壇場で慌てるのはY課長に管理能力がない証ではないのか」。

開いた口がふさがらない言い分と思うだろう。怒りは、グッとこらえてもらいたい。

「問題社員」との衝突では、上司は部下の心構えに期待し、部下は上司に仕事のお手本であることを期待する。結局、お互いに期待しすぎると、期待を裏切られた時にがっかりして心が通わなくなる。

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