住宅価格がファンダメンタルズで説明できるか否かを測る指標として、「住宅取得能力指数」(住宅アフォーダビリティ指数、Housing Affordability Index)という指標がある(以下、HAI)。
HAIは、平均的な家計による住宅購入のしやすさを示す指数であり、HAIが高いほど、住宅を購入する余裕度(アフォーダビリティ)が高いことを示す。具体的には、HAIは平均的な家計が「可処分所得」の一定割合(20~25%とすることが多い)を一定期間(25~30年とすることが多い)の住宅ローンの元利払いに充てるという仮定を置くことで、平均的な家計による「借入可能額」を求め、「貯蓄額」を加えた「資金調達可能額」を「住宅価格」で除して作成する。
つまり、HAIが100を超えていれば、資金調達の観点から無理なく住宅を買うことができることになる。
現状の資金調達環境ではバブルとは言えないが
今回のコラムでは、日本のHAIを求めるため、①住宅ローン組成における変動借入比率、②変動借入比率を考慮した平均的な住宅ローン金利(一般的な変動金利と超長期固定金利を変動借入比率で按分したもの)、③住宅ローンの平均借入年数、④平均可処分所得、⑤平均貯蓄、⑥新規マンション平均価格、を用いて指数を作成した。
なお、住宅価格は新規マンション1戸当たり平均価格(首都圏・近畿圏)を用いた(以下では、これを「住宅価格」と呼ぶ)。マンション価格と戸建ての価格には差があるものの、流動性の高さなどを考慮すれば、マンション価格のほうが市況を反映している面があるため価格動向を分析するには適していると考えられる。
これらのデータと前記の式を用いて日本のHAIを求めると、足元で指数は100を下回っているものの、過去と比較して極端に低いわけではない。あくまでも平均的な家計という前提においてだが、資金調達の観点からは「バブル」とは言えないというのが結論である。
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